どうも、あいうえです。
今日は比較的地味(?)な公益セクターについて紹介します。
あまり人気がないセクターのようですが、ポテンシャルはなくとも実力はあるセクターですので、私的にはおすすめだったりします。
なので、そんな公益セクターの魅力とはなんなのかをじっくりねっとりと見ていきましょう。
1 公益セクターとは
公益?なにそれって人もいると思うのでまずはそれから説明します。
セクターでいうところの「公益」というのは社会インフラというのが一番正しいと思います。
例えば普段利用している電気、水道、ガス。よくよく考えてみるとこれらって国が提供していてもおかしくないですよね。ないと生活ができないわけですから、公共財として国が提供することが多いものです。
実際、日本の水道は今のところ公的機関が提供していたりします(後日追記:とか書いてたら水道法が改正されましたね)
しかし一方で、電気やガスは民間会社がやっていますよね。社会的に必要だといっても、先ほど挙げたインフラはすべて国がやっているわけではありません。
社会インフラを提供している民間会社は存在するわけです。
そして、そのような事業のことを公益事業と呼びます。
ということで、公益セクターはそのような社会インフラを担う企業達を指します。
ちなみに、公益セクターに関して言えば電力の占める割合が大きいです。
参考:バンガード社より引用
2 公益セクターの特徴
社会インフラを提供していることはわかったのですが、ではそんな公益セクターにはどのような特徴があるのでしょうか?
私が知っている限りでは3つあります。
1 配当利回りが高い
比較してもらえればわかるのですが、配当利回りはかなり高く株高時でも3%を超えています。
その理由は二つあり、一つ目は公益セクターには設備投資をする必要がないということです。
確かに、今更設備投資をするようなセクターではないですよね。むしろ保守点検の方が大事なくらいです。当然研究費もほとんどかかりません。
設備投資をしなくていいのならば、利益の大半を株主に返すのは当然です。
また、よくも悪くも規制業界であり、利益が安定しているからいざというとき用のお金がいらないというのも大事です。つまり、お金を貯めるインセンティブがないのです。お金を貯める必要がないのなら、これまた株主に返すのが当然です。
もちろん、その「いざというとき」が来てしてまった東京電力の例もあるわけですが……。
2 金利上昇に弱い
公益セクターの企業は安定している利益を理由にして借金を多く借りる傾向があるので、金利が上がると債務利払いによる負担が増え業績が悪くなり、株価が下落する傾向があります。
また、金利が上がると業績が安定しているとはいえ伸びしろがない公益セクターじゃなくて素直に債券でいいじゃん?と思った人による公益売り債券買いトレードが行われるというのもあります。
公益セクターに限らず、高配当株式自体が金利上昇には弱いんですよね。
3 景気後退に強い
公益セクターというのは圧倒的な景気後退に対する強さを誇ります。
社会インフラの提供という事業内容からして景気に関係なく需要があることがわかりますよね。その面においては生活必需品セクター以上です。
そのような企業は倒産リスクが少ないということで、景気後退時に資金の逃げ場にされます。
また、不景気時に政府の公共事業を受け持つセクターでもあるので、その期待も受けやすいのでしょう。
特徴をまとめる
この3つを総合すれば、公益セクターは景気のピークが過ぎ景気が後退しているあたりで強みを発揮するセクターだと言えます。
とはいえ、本当に景気のピークを当てられるなら苦労しないし、そもそも株買いませんけど…… と思いますよね。
ということで、「いつ来るかわからない不景気に備えて、金利の上昇と共に少しずつ公益セクターの割合を増やしてポートフォリオのディフェンス力を上げる」という使い道が現実的なものではないでしょうか。
金利が上がってくるにつれリセッション入りする可能性が高まるというのは正しいですし、それに加え、公益セクターは配当利回りがいいので見た目の株価ほどは成績が悪くなかったりします。
過去のデータ的にも、ある程度株が上がったらポートフォリオのディフェンス力をあげるという選択肢は合理的です。
一度の暴落は数年の上げを消すくらいの強力な作用があるので、ディフェンス力を上げたことによる損は、その瞬間に得に変わります。
(もちろん、あまりにも慎重になりすぎてディフェンシブなポートフォリオにするのが早すぎた場合は話がかわります)
3 実績
SP500との比較をします。青が今回のVPU、赤がSP500です。
まずはリーマンショック。リーマンショック前の公益事業株が好成績を残していたせいで分かりづらいですが、リーマンショック時も公益事業はディフェンシブ性を発揮しています。
SP500が半分以下になったのに対し、VPUの株価は88→52と半分を割っていません。
そして公益株の特徴がでたのが2018年。2018年前半は金利上昇懸念により公益株がSP500比で大幅に劣後しましたが、後半にかけて今度は景気に対する懸念がでてきたことによりSP500の急落を尻目に上昇しています。さきほど書いた特徴がそのまま出た値動きといえるでしょう。
4 取引できる証券会社
国内ではマネックス証券、楽天証券、SBI証券などで取引が可能です。
海外ではIB証券などで取引できます。
5 まとめ
基本的に影の薄いセクターですが、こうしてみてみると意外と悪くないなという感じがしますよね。
長期チャートで見てもリターンは悪くありません。
じみ~に発電してるだけのセクターがSP500のリターンと同じというのはよくよく考えるとすごいです。
スティーブさんを始めとしたCEOや、世界のエリートが働いている会社がもたらしたリターンと同じですからね。やべーです。
まあ、不況に強いという特徴の使いづらさが影の薄さに繋がっているのでしょう。
いくら不況に強いといってもちゃんと株価は下がりますから、本当に景気後退に備えるなら債券買いますという話ですし。
買い時がいまいち見つからないくせに適当に買っておけば儲かるというなんとも言えない……。
上でも似たようなのを書きましたが、金利が上がるに従って少しずつポートフォリオにしめる公益セクターの割合を増やしていって、金利があるラインを超えたら債券に買い替えるみたいな感じですか?
こう、なだらかにポートフォリオのリスクを減らしていくイメージで。
……そんな面倒なことを個人投資家がやる必要があるんですかね。
しかし、いずれにせよ優秀さの割に投資家には無視されがちなセクターなので、忘れないで気にかけてあげればいつか最高の買い時が見つかるかもしれません。
公益はどうせ投資しないしいいや、なんてことをせずにちょくちょく気にかけてあげてくださいね。
お読みいただきありがとうございました。
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