どうも、あいうえです。
今回は配当に注目したETFのなかでも、特に連続増配に注目したETFであるVIGを紹介しようと思います。
連続増配系は「配当貴族」という名前が有名な通り個人投資家に人気なのですが、VIGはその系統のETFの中でも安定度がウリのETFです。
1 なぜ連続増配なのか
まずは連続増配について書いていこうと思います。
基本的に、企業は利潤を株主に還元します。
なぜなら、株式会社の利益は株主のお金を元手に得たものだからです。会社は株主の物なので、利益は株主に還元しなければなりません。
そして株主還元の方法としては、配当金と自社株買いがあります。
最近は自社株買いも盛んになっていますが、株主還元の王道は今なお配当金だと言っていいでしょう。配当金は現金が手に入りますからね。株主からの期待が高いのです。また、現金で返すという方がより本質的な還元法です。
そんなわけで株主はみな配当金の量に注目します。そして、前より配当金を増やすことを増配と言います。
では、毎年毎年増配する企業はどのような企業といえるでしょうか?
私は二つのことが言えると思います。
一つは業績が長きにわたって好調だということ。
そしてもう一つは株主還元を重視していること。
当然ですよね。毎年多額の配当金を出せるほど利益がでていて、かつその利益を株主に還元しようという企業しか連続増配はしません。
株主還元を重視しているかはともかくとして「何年も連続増配をする企業は業績が長きにわたって好調である」という事実は重要です。
だからこそ、連続増配に注目した投資方法が存在しうるのです。
2 では、何年連続で増配していればいいのか
連続増配に注目して投資をするとして、何年連続増配している企業に投資するのがいいのでしょうか?
実のところ、これはかなり難しい問題です。長い間増配している企業の方がいい、という単純な話ではありません。
まず、2年連続増配などではではだめでしょう。
2年間だけ業績がいい企業は、安定しているとはいえません。
では何年くらいがいいのでしょうか?少し例を出してみましょう。
例えば、配当貴族は25年、配当王は50年連続増配している企業を指します。(注:アメリカ株の話です。アメリカ以外の場合は10年程度で配当貴族扱いされるのが一般的です)
そして今回紹介するVIGは10年連続増配している企業を集めたETFです。
それぞれ長所と短所がありますので比較していきましょう。
配当貴族や配当王の長所はやはり安心感です。
ここ25年だけ見てもドットコムバブル崩壊やリーマンショックなどの暴落があります。
50年で見ればもっと厳しい時期があったでしょう。
しかし、配当貴族・配当王銘柄はそのすべてを切り抜け、増配を続けています。
いやはや、すごいですよね。配当王とか私が生まれる前から配当を出し始めそこから毎年増配してますからね。
しかし、キャピタルゲインはあまり期待できない、というデメリットがあります。
少なくとも、爆発的な株価上昇は望めないでしょうね。なぜなら、それだけ長く存続している企業はすでに成長の余地がないからです。
50年も事業をやっている会社が新規事業に積極的に投資して収益爆増……考えにくいですよね。
一方、10年連続増配で絞っているVIGはその逆で、増配をこれからも続けてくれるかに不安はあるけれど、まだまだキャピタルゲインも期待できるというのが特徴になります。
不安の面で言えば、VIGにはそろそろリーマンショックで減配した銘柄が含まれるようになります。そのような企業が次の暴落でも減配する可能性は高いでしょう。
一方で、連続増配の基準が10年ですとこれからも業績・株価が伸びていくであろう企業が少なからず含まれるでしょう。例えばIT産業に身を置いていて今なお成長著しいマイクロソフトはVIGに含まれています。
また、先述した配当貴族や配当王の銘柄もちゃんと含まれているのでそれは心配する必要はありません。
まあ、結局のところ何年間を基準とするかは最終的には個人の好み次第なのですが、10年というのは比較的無難な選択肢だと言えます。
3 VIGの作られ方
アメリカにある10年以上増配している企業が時価総額加重で組み入れられています。
経費率は0.08%です。
4 実績
SP500だけでなく、配当貴族との比較もしようと思います。
青がVIG、水色がSP500、黄色が20年連続増配で絞っているSDYです。
(配当貴族のは古いデータが手に入りませんでした)
青のVIGがトップを走る展開が長く続いてましたが最近はSP500に追いつかれているといったところでしょうか。2018年までは何年か配当金を出さないグロース株優位の時代が続いていますので、それが原因でしょう。
ちなみに、配当貴族駄目じゃないか!?と思う方もいるかもしれませんが、それは罠です。
配当率を見てみましょう。2018年現在、株高の影響で全体的に配当率が低くなっていること念頭に見てください。
VIG:1.88%
IVV(SP500連動ETF):1.75%
SDY(配当貴族):3.21%
SDYはVIGやIVVより株価が低いことを踏まえても高い配当率です。
配当金再投資を前提にするならばVIGやSP500との成績差はもっと小さいので安心してください。
5 採用銘柄トップ10とセクター構成
バンガード社より引用です
まず、上位にいる企業ですが、上の方は知名度が高いですが下の方になると少し知名度が低くなってくるかなーという感じです。まあ、ETF投資をしといて知らない企業への投資を躊躇う人はあまりいないでしょうが……。
一方セクター構成はかなりの偏りを見せています。 最低十年連続増配という条件からある程度傾向は予想できますが、それにしても圧倒的な資本財セクターの割合です。逆に、イケイケドンドンなテクノロジー株は十年増配どころか無配株が多いのであまり含まれていません。
6 取引できる証券会社
国内ではマネックス証券、楽天証券、SBI証券などで取引が可能です。
海外ではIB証券などで取引できます。
7 おすすめ度と私の評価
おすすめ度は1-5の範囲で言えば5です。
もし私が配当金を重視したETFを買うならVIGを購入します。
少なくとも、高配当利回りETFと連続増配ETFだったら私は連続増配ETFを購入します。
そして、SDY(20年)ではなくVIG(10年)を購入します。
一つの理由は税金です。配当金には税金がかかる以上、高い配当利回りを誇るETFでの配当金再投資戦略は効率が悪いと思います。
(配当金再投資をしている地点で、「現金をもらえる」という配当金のメリットも減っています。ただ、再投資先を自分で選べるのでメリット自体は残っています)
その意味で私は高インカムゲイン・低キャピタルゲイン投資よりも、低インカムゲイン・高キャピタルゲインな投資をより選好します。
VIGはどちらかといえば後者です。配当系ETFにしては低い配当利回りを株価の成長で補っていくETFです。
一方で、連続増配という条件からある程度の安定性も担保できます。
ここがグロース株との違いですね。グロース株は配当金を出していないのも多いですが、ちょっと業績が悪くなるだけで売られたりします。
それに比べて、10年とはいえ連続増配と達成している企業なら少しくらい業績が落ち込んでも株価はそんなに下がらないでしょう。
以上の理由により、配当金ETFの中から選ぶなら、私はVIGを購入しますね。
お読みいただきありがとうございました。
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