どうも。あいうえです。
今日はアメリカ市場を対象とした低ボラティリティETFについて見ていきます。
以前も低ボラティリティ戦略については記事を書いたのですが、ここでは実際の成績について議論していきます。
1 低ボラティリティ戦略とはなにか
以前記事を書いたとはいえ、この記事でも軽く低ボラティリティ戦略の紹介をします。
低ボラティリティ戦略とは、文字通りボラティリティを抑える戦略のことです。
ボラティリティが高いというのは値動きが激しいということを指すので、低ボラティリティ戦略は、「できるだけ値動きを少なくしよう」という戦略を指すことになります。
それっぽくいえば、低リスク戦略と言ってもいいです。
……しかし、低ボラティリティ戦略の肝はそこではなく、ボラティリティを抑えるとなぜかリターンまで向上するというところにあります。
これは結構不思議な話でして、低リスクと高リターンは両立しないというの常識を打ち壊すものです。
それに関する考察めいたものも一応以下の記事では書いてます。
2 実際の低ボラティリティETF
そしてそんな低ボラティリティ戦略を採用したETFがブラックロック社の提供するUSMVです。
私は低ボラティリティ戦略にロマンを感じるので、結構この戦略のファンなのですが、そう思う人が多いのかブラックロック社が提供するスマートベータETFでは一番人気だったりします。
ちなみに経費率は0.15%です。
USMVは運用開始が2011年と遅いのであまり紹介しづらいなぁと思っていたのですが、今回はUSMVが連動するインデックスを作ってるMSCI社の提供しているバックテストデータを発見したので紹介に至りました。
USMVが連動するインデックスのデータなので、実質USMVの成績データですからね。
以下のグラフは2004年からのバックテストデータです。比較対象のMSCI USAは実質SP500と思っておけば問題ありません。
引用元:
https://www.msci.com/documents/10199/f5c0900d-ab44-4bdd-bec7-94761d009094
(Not Foundとなった場合は [ MSCI USA Minimum Volatility (USD) Index ]と検索していただければ出ると思います。
そうなんですよねぇ……表を見てもらえれば分かりますが、実は圧倒的な高リターンを出しているわけではない戦略だったりします。
リーマンショック以前と直近の成績が特に劣っているという印象ですね。
1998年からのデータですと低ボラティリティ戦略の年平均リターンは10.03%と、普通のインデックスの9.97%とほとんど変わらないです。というかもはや誤差です。
というか、USMVの経費率が0.15%なことを考えるとVTI買った方がリターンが良くなる計算です。
あれー?
3 USMVのいいところ
まあ、前の見出しでは低ボラティリティ戦略微妙感でてしまいましたが、実際にはそれでもVTIに比べると魅力的だと個人的には思っています。
長期的には低ボラティリティ戦略と普通の時価総額加重のリターンが同じという話をしたのですが、ここで各種リスク指標を見てみます。
シャープレシオ
低ボラティリティ:0.60 普通の:0.50 (1998年以降の平均)
最大ドローダウン
低ボラティリティ:47.18% 普通の:55.36% (どちらもリーマンショック時)
シャープレシオは「リスクごとのリターン」を表す指標で、一般に高ければ高いほどよいとされています。
最大ドローダウンは、暴落時に最大どれくらい下がったかを表す指標で、これは当然小さい方がいいです。
そう、なんとリターンが同じでもUSMVの方がリスクをとっていないのです。
ドローダウンが10%小さいというのは確かに地味です。
地味ですが、暴落時に株式を買いあさりたい!という場合にはかなり効いてきます。
低ボラティリティETFをバイアンドホールドする際には関係ありませんが、ある程度はポートフォリオを時期によっていじるのならばかなり使える子です。
最大ドローダウンの小ささは株価が高値圏を推移しているときには力強いものです。高値掴みしたという悲しみを少し癒してくれますからね(笑)
低ボラティリティは、株価が高値圏にいて怖いけどまだ株を買っていたいという場合には避難先としては十分魅力的な戦略だと思います。
どこかのタイミングで他の株式に買い替えることを前提にした一時的な購入も、買い替え資金の保全という観点からしたら十分使えます。
USMV自体は日本の証券会社では買えませんが、日本株最小分散戦略ETFは東証に上場されているので、日本株式に投資してる方は一度検討してみてはいかがでしょうか。
お読みいただきありがとうございました。