どうも、あいうえです。
今日は債券のなかでもちょっと特徴がある社債に投資できるETFについて書いてみようと思います。
日本において社債というのは、主に買いづらいという理由によってはあまり人気がないというか、そもそも知られていないという感じがします。私だってLQDを知るまでは社債というものに個人投資家が投資できることを知りませんでしたし。
(大和証券とか使えば社債が国内外ともにそこそこ充実していたりします)
とはいえ、ETF界では利回りのいい債券としてかなり人気が高かったりします。
国債より信用度が低い分社債の利回りは高いですからね。いっぱい収入欲しいという人が買っていきます。
そんなこんなした結果LQDは債券ETFでは運用額がAGG・BNDに次いで第三位になるほどには人気。
ということで、この記事では意外な人気者、社債のメリットやデメリットについて説明できたらなと思います。
1 社債ETFの特徴
社債のメリットは「利回りがいい」の一言に集約されます。
そう、利回りがいいんです。先ほども書きましたね。
しかし、株式に比べて債券の世界はシビアで、いい利回りには必ずリスクがあります。おいしい話には裏があるんです。
しかし社債が負っているリスクは単純です。
これも先ほど書きましたが、それは信用リスクです。
社債は信用リスクを負っています。要は、デフォルトの可能性が高いということですね。
ちょっと具体例を挙げてみましょう。
LQDを見てみますと、アップル社の社債の姿も確認できるのですが、アップル社債とアメリカ国債のどちらの方がリスクが高いでしょうか?
……どう考えてもアップル社債ですよね。アメリカという国と、いくらすごいとはいえ一企業では信用度が違います。というか、アメリカは最悪金を刷って返せばいいので問題ありません。金を刷って返し始めるとそれはそれで悲惨なことが起きるような気がしますが、それでもアップルの社債に比べたらましになるのが近代国家における国債というものです。
で、その信用度の差の分アップル社の社債はアメリカ国債より利回りが高いです。
ということで、そんな社債が集まったETFは当然国債よりも利回りが高いです。
では、分散が行われているETFにおいて信用リスクというのはどのような形であらわれてくるのでしょうか? デフォルトしたら紙屑になる生債券と違ってETFは全部の債券が紙屑にならない限り価値が0になりません。
……答えは意外と簡単で、ETFの価格が下がる(キャピタルロス)という形で表れてきます。というか、ETFに含まれている一部の債券が紙屑になったせいで一部だけ価格が下がると考えれば当然ですね。
国債を中心に運用されている総合債券ETFのAGGと比べてみましょう。
赤色がAGGで、青色がLQDですが、リーマンショック時はかなり差がついていることが確認できます。。
そしてチャイナショックの時も目立ちませんがはっきりと差がついています。
有事の時に値下がりするのが信用リスクの高い社債というものです。
とはいえ好調時にAGGを超えるということもなく……。
下げるときだけ大きく下げるということで分かりやすくリスクが表れています。
(価格の動きが同じなら利回りが高い分実際にはLQDの方が成績がいいんですけどね)
結局戻ってるから問題ないじゃんと思うかもしれませんが、実際にはそれほど単純な問題ではないです。
確かに債券100%のポートフォリオならそれでいいのですが、例えば株債券50%ずつのポートフォリオだと、ショックが起きた時にリバランスで株式に振り分ける金額が減ってしまいます。攻めの資産と守りの資産の両方を組み入れており、なおかつリバランスを前提にしているポートフォリオだとそこらへんに問題が生じてしまうんですね。
この中途半端さが社債の悪いところです。
まあ、とはいえ長期的には利回りが高いLQDの方がAGGをアウトパフォームします。
株が債券より長期的には圧倒的にいい成績を残すのと同じ仕組みですね。
2 LQDの各種データ
ということで、価格変動の大きさ以外のデータも見ていきましょう。
(以下はすべて2018年11月現在のデータです)
まずは経費率を確認すると0.15%です。
AGG・BNDより0.1%高いですね。収入が利回りという形で%表記される債券だと、0.1の差が少し気になりますが、実際のところ誤差でしょう。
それに社債は必ず国債より利回りがいいので、よっぽどのことがない限り経費率込みでの利回りが逆転するなんてことは起こりません。安心してください。
そして利回りは3.25%。(2018年6月現在)
同じ日のAGGが2.34%であることを考えると確かに高いことがわかります。
そしてデュレーションは8.22年。
これまたAGGの5.88年に比べると大きいです。
デュレーションは、大きいと利回りが高くなる一方で価格の変動も大きくなってしまうということを考えると、LQDは金利リスクも高いということになります。
最後に保有銘柄の格付けも見てみましょう。
事実上AAA以上がほとんどないどころか、投資適格ぎりぎりのBBBが多いことが分かります。これが初めの方に述べた「信用リスク」を分かりやすくしたものですね。
ちなみに、BBBが多くを占める投資適格債市場に対して警鐘を鳴らしてみた記事も書いてたりします。
3 私の評価
おすすめ度は1-5の範囲では3です。
いや、いいETFだとは思います。
しかし、たった0.5%の追加利回りを得るにしては負っているリスクが高いというのが私の感覚です。
国債と社債の利回りの差は変動的で、それ自体が景気の状況を表すものだったりするので、常に利回りの差が0.5%とは限りません。
そういう意味では、もっと利回り差が大きくなれば魅力が出てくるとは思いますが「長期的には株式が債券よりいいリターンを残す」という事実を踏まえたうえであえて債券ETFを買うからには、中途半端に利回りを求めるのではなく安全度を重視するべきではないかと思います。
リターンを求めるなら株、安定を求めるなら国債ときっぱりとわけて、中途半端ともいえる社債は投資しないという方が分かりやすいのではないのでしょうか。
繰り返しになりますが、社債を買うなら株でいいじゃんというのが私の考えですね。
お読みいただきありがとうございました。
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LQDに似たものとして投資適格債に投資するCREDというのもあります。
【CRED】米国クレジット債に投資するETF【LQDとの違いはなに?】
本ブログではいろんなETFを紹介しています。