どうも、あいうえです。今日はウィズダムツリー社が大好きな配当加重ETFを紹介しようと思います。
ウィズダムツリー社はスマートベータの運用に特化した運用会社で、マネックス証券で購入すると購入手数料が0円になるキャンペーンをやるなど、日本市場にそこそこ力を入れています。
今日紹介するのはそんなウィズダムツリー社が運用するウィズダムツリー米国大型株配当ファンド / DLN です。
1 DLNとは
DLNとは時価総額TOP300の企業を配当総額に従って加重して作られた指数に連動するETFです。(配当金を出していない企業は除かれます)
配当総額 = 1株当たり配当金 × 発行済み株式数
配当利回りで加重しているわけではないので、利回りが低い企業の方が利回りが高い企業より組み入れ割合が多いことも普通にあるのでそこは注意してください。
なので、DLNは実のところ高配当ETFではなく配当総額を利用したファンダメンタル加重ETFの一種です。
「配当」ファンドとあるので、高配当株式かなと思ってしまうのですが実は違います。
とはいえ、流石に配当利回りはSP500などと言った時価総額加重平均で求められる大型株指数より高いです。
2 採用銘柄TOP10とセクター別割合
ウィズダムツリー社より引用
最近はアップルやマイクロソフトのように株主還元を積極的に行うIT系企業も多くなってきました。
配当の歴史自体はすごい長いわけではありませんが、それでも配当総額1位2位になったりするわけですから凄いです。グーグルやアマゾンも将来はこうなるのでしょうか。
3位以降はいわゆる高配当銘柄・配当貴族系の銘柄が並びます。
まあ、配当総額で重みづけしていますから、そんなものでしょう。
次はセクター割合についてですが、全体的にバランスがいいなという印象です。
それでもやはり情報技術が一位なのは時代を感じさせますね。
とはいえ、一位情報・二位金融の見慣れた並びに続く三位が生活必需なのは配当加重らしさがあります。
3 なぜ配当加重なのか
これは気になる人も多いでしょう。
時価総額ではなく、配当総額で重みづけするのはどうしてでしょうか?
それを知るためにはまず時価総額の意味を知る必要があります。
時価総額は株価 × 発行済み株式数で求められます。そして、時価総額は一般にその企業の価値を示しているとされます。
「時価総額 = 投資家の考える企業の価値」という式は覚えておくと便利でしょう。
しかしここで問題なのは、果たして企業の価値は正しく評価されているのか?というところです。過大評価されてたり、過小評価されてたりしないのかということでもあります。
当たり前ですが時価総額加重は時価総額に従って加重する関係で、過大評価されている株を多く含み、過小評価されている株を少なく含む傾向があります。
なので、もし市場の評価が正しくなかったとしたら最悪の加重方法だといえるでしょう。
一応経済学的には「時価総額は正しく評価されている」が正解です。これを効率市場仮説と言います。
効率市場仮説とはおおざっぱに言えば、市場が決めた株価は正しいという仮説です。
しかし、歴史を見ると「正しく評価されてなくね?」となることがしばしばあります。
過大評価されていた例として一番適切なのはバブルですし、バフェットは過小評価されてる株式に集中投資したことで富を築いた人物です。
ということで、時価総額以外にもっと適切な評価方法はないか?と思ったウィズダムツリー社が注目したのが配当総額です。
もちろん、配当総額が大きい企業はそれだけ事業が成功している企業ということになるので配当総額を利用して重みづけをするのはある程度理にかなっています。
また、時価総額と違う点として配当総額は市場ではなく企業が決めるというのがあるので、過大評価や過小評価といったことが比較的少ないです。(というより「少ないことになってる」という方が正しいでしょうか)
重みづけを決めるのが市場ではなく企業のトップたちである、というのが良くも悪くも配当加重の特徴となります。
また、配当加重の方が時価総額加重をアウトパフォームしたというシーゲル教授の研究結果もあります。
4 実績
ということで、そんな配当加重ETFのDLNの実績を見てみましょう。
高配当株式ではなく、ファンダメンタル加重のETFであるということで大型株の指数としてよく使われるSP500と比較します。DLNは「大型株」配当ファンドですからね。
青がDLN、赤がSP500です。
随分とSP500に負けています。
先ほど書いたようにDLNはSP500より配当利回りがいいのですが、配当金再投資をしたところで残念ながらSP500には負けています。
おそらく、近年はアマゾンやグーグルといった無配グロース株が市場を引っ張ってきたからでしょう。
グロース株が強い環境下では、配当に注目したETFはDLNに限らずSP500をアンダーパフォームしています。
なので、まあそんなもんだろうという感じで、あまり意外ではありません。
また、リーマンショックでの下落幅がSP500と同等というのは気になりますが、リーマンショックは株式ではなく住宅バブル崩壊(に伴う金融危機・不景気)なのでDLNの「バブルに乗っからない」という性質があまりうまく発揮されなかったのだと推測します。
5 まとめ
DLN的には、最近の市場は無配グロース株を過大評価しているバブルということになるのでしょうね。
なによ、みんな無配グロース株なんかをちやほやして(○`ε´○)!!
とでも言っているかもしれません。
AmazonといったIT企業が本当にバブル状態ならば、SP500に連動するETFではなく配当加重であるこちらのETFを選ぶべきでしょうね。
歴史的にも、配当加重に限らずスマートベータ系は(一部を除き)バブルに乗らないことによって長期的なリターンを向上させてきた感じがあります。
今の環境(特にFANG)がバブルだと不安に思う方はこのようなETFも検討してみてはいかがでしょうか?
マネックス証券だと手数料ゼロで買えますし。
お読みいただきありがとうございました。
実は昔スマートベータに関する連載をしていました。
配当加重以外のスマートベータに興味がある方はどうぞ。
これは配当総額でしたが、配当総額+自社株買い総額で求められる還元総額で加重するETFもあります
これまで紹介してきたETFたちです