どうも、あいうえです。
本ブログではこれまでも幾度か米社債のリスクについて述べてきました。今昔の記事を見たところ半年前くらいから始めていたようですね。
私の記憶が定かなら私がそれに触れ始めてある程度したころから世間にも投資適格債市場に警鐘を鳴らすレポートが出回り始めたと思います。まあ、投資家が注目するものなんてみんな同じなんですよ。
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さて、そんな社債市場ですが、今回の下落相場においてきちんと下落していたようなので、今後のためにも確認しておきましょう。
1 年初来から弱かった投資適格債と、不思議と強かったジャンク債
上の画像は今年に入ってからの投資適格債(青)ジャンク債(赤)の米国債とのスプレッドを表したものです。
これをみるとわかるのが、年初の下落から投資適格債はだらだらとスプレッドを広げ続けていた一方で、ジャンク債がまったくもって堅調な動きをしていたということです。
おそらく投資適格債は金利上昇懸念から売られており、一方でジャンク債は原油価格の堅調を盾に踏ん張っていたという感じでしょうか。
しかし株式相場の裏でこっそりと仲良く原油が暴落したのと、景気自体に懸念がでてきたことから近頃ジャンク債が崩れ始めています。そしてリスクオフでは上がることさえある投資適格債ですが、今回の下落相場では年初来の悪い流れを引き継ぎながら下落しています。
ジャンク債はともかく、投資適格債の悪い流れが続いているのは重要ポイントです。
買い手からすればこの程度の崩れなら利子収入で賄えるので、年初来で見ても成績が非常に悪いわけではありませんが、投資判断においては価格が下落していること自体が重要になってきます。
2 歴史を振り返る
さて、こちらは先ほどのグラフを長期化して、比較用に米株価(対数スケール)をもってきたものです。
こうしてみると一目瞭然、社債市場は株式市場の先行指標になっているじゃありませんか!
……むしろ、先行しすぎていて使えないくらいに先行してますね。ITバブルのときはおおよそ2年先行してる使えねーやつです。そこまで先行されても困る……。
リーマンショックのときは逆に完璧な指標になっています。ジャンクは他の要因にも左右されるので敏感すぎるきらいはありますが、青線だって十分に使える子なので問題ありません。
それを気にしながら直近のデータをみると、明らかにスプレッドが開き始めています。
もちろん騙しはあるのでこれだけで判断するというわけにはいきませんがね……。
しかし、ジャンク債の下落を原油価格下落のせいだと片づけたくはないです。このままジャンク債が下がり続ければ遠くない内に株式も下落するでしょう。やはり本命は年末から19年いっぱい辺りのどこかで株価が総崩れシナリオなのでしょうか?
パウエル発言をうけてFRBがハト派になったという解釈をするのは難しそうですし……。直近の記事でも述べましたが、12月の利上げは既定路線で、市場の織り込みを見ても来年1回くらいは利上げしそうです。それは十分にタカ派的な引き締めだと思います。
まとめ
つまりこの記事で何をいいたいのかというと、また弱気材料が一つ増えたということです。クレジットスプレッドに注目している投資家がどれくらいいるかはわかりませんが、一つの有力な指標が弱気に傾き始めました。
歴史的を振り返ると、株式市場はそのリターンに目を奪われる投資家が多いのか、それとも時価総額が債券市場よりずっと小さいせいなのか、最後まで間違えていることが多い市場です(ジャンク債の方が投資適格債より遅く崩れているのも、ジャンク債市場が比較的小さいからかもしれません)
皆さんも債券市場の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
お読みいただきありがとうございました。