どうも、あいうえです。
今日はETFと似ているようで微妙に違うCEFの一つであるBHK・RCSを紹介しようと思います。
BHK・RCSはそれぞれブラックロック・PIMCOが運用する総合債券ファンドなのですが、債券と言ってもよく知られているAGG・BNDなどの総合債券ETFとはまったく違う性質を持っています。
この記事でははその違いに着目しながら説明をしようと思います。
- 1 CEFはETFのようなものと思って問題ない
- 2 BHKとRCSは総合債券CEF
- 3 高配当たこ足投信とは違う
- 4 BHK・RCSの長所
- 5 短所
- 6 ポートフォリオに少量混ぜておくのがいいのではないか
- さいごに
1 CEFはETFのようなものと思って問題ない
まずは耳馴染みがないと思われるCEF――Closed-End-Fundについて説明しますと、ETFのようなものです。
しかし、二つほど大きな違いがします。
一つは、インデックスを追跡するのが基本であるETFとは違い、CEFは基本的にはアクティブ運用であることです。
しかも、まず間違いなくレバレッジがかけられています。しかもしかも、まるで毎月分配型投信のような高配当を行っています。債券ならまだしも、株式を見てもなぜか高配当にこだわっているものが多いです。まあ、長期リターンを見る限りたこ足分配をしているようではないので問題ないと思いますがね。
もう一つの違いは、ETFとは違い総発行数が制限されていることです。
ETFは発行数が市場での需要によって増えたり減ったりするのですが、CEFはClosed-Endというだけあって一度発行されたら追加発行はほとんどされません。
そのため、本来の価格に比べてプレミアムがついたり逆にディスカウントされたりしますが、様子を見る限りCEFの銘柄同士を比較した際にいい感じにリスクとリターンが比例するように市場全体で均衡ができているようなので、こちらもあまり心配ないと思います。
2 BHKとRCSは総合債券CEF
BHKは正式名称Core Bond Trust、RCSはStrategic Income Fundなのですが、名前の「正統派だぜ感」の通り二つともAGG・BNDに似たような総合債券ETFです。
ただ、普通の総合債券ETFとは違い、RCSはモーゲージ債でガチガチに固めていますし、BHKの方も国債より投資適格社債が多かったり、ジャンク級が1-2割ほど含まれていたりとやや攻撃的な布陣です。とはいえ、債券のクオリティが高いという意味では総合債券ETFの仲間でしょう。
デュレーションはどちらも同じで6-8年前後なのできちんと総合債券ETFっぽい感じですね。
参考:BHKとRCSの組み入れ割合
参照元:
https://www.blackrock.com/investing/products/240176/blackrock-core-bond-trust-usd-fund#/
https://www.pimco.com/en-us/investments/closed-end-funds/strategic-income-fund-inc
また、どちらも3割弱のレバレッジをかけており、さらに高配当特有のカバードコール戦略を使っ高い配当利回りを確保しています。
なんとBHKは6.1%、RCSは9%もの高配当なのです。
え、そんなに配当高くて問題ないの?とお思いのあなた。問題ないんです。
3 高配当たこ足投信とは違う
高配当……毎月分配……カバードコール……うっ頭がとなってしまう投資クラスタは多いものですが、こちらのCEFは腐ってもどころかそもそも腐ってすらいないブラックロックとPIMCOが運用するものです。
そんなものと比べるのは失礼というもので、過去の値動きを見る限りまっとうなファンドです。
青線がBHK・赤線がRCSの値動き(配当除く)なのですが、20年経ってなお普通の価格を維持していることがわかります。
4 BHK・RCSの長所
長らくBHKとRCSのお話をしてきましたが、ここらでその長所を述べていきましょうということで、1995-2018年までの各ファンドのリターン(配当金再投資・税金の存在しない世界線)を見ていきます。
BHK
平均リターン年7.22%、標準偏差9.25%、マックスドローダウン-18.05%、SP500との相関0.06
RCS
平均リターン年14.59%、標準偏差14.59%、マックスドローダウン-26.24%、SP500との相関0.23
SP500
平均リターン年10.09%、標準偏差14.47%、マックスドローダウン-50.97%
文字だけで説明して見づらいかもしれませんが、なんとこの中で一番リターンが良いのはRCSでした。いやぁ、さすが長年金利が下がり続けただけはあります。完全にSP500の上位互換ですね。(まあ、税金を考慮するとリターンの一番はSP500ですが)
一方のBHKはリターンは控えめなものの、ボラティリティも控えめですしSP500との相関の低さが魅力的です。
相関についてはRCSも0.23とかなり低いことも踏まえると、ここからわかるBHKとRCSの大きなメリットはリターンがあるにも関わらずSP500との相関が低いことになります。
リターン面の主因は金利の低下であり、今後は期待できそうにないとしても、レバレッジとカバードコールによってもたらされるリターンの株式との相関係数の低さは目を見張るものがあります。レバレッジをかけているので、雰囲気的には長短金利差が大きくなるとリターンが向上し、小さくなると低下するという性質をもっていますね。
まあ、BHKもRCSも結局のところレバレッジのかかっているAGG・BNDでしかないので予想通りと言えば予想通りですが、デュレーションの割に高いボラティリティも含め絶妙に使い勝手のいいファンドであると言えます。
5 短所
とはいえ当然短所もあり、やはり大きいのは税金でしょう。
配当利回りは高いとはいえ、その2-3割程度は税金に取られてしまう訳で、先ほどのリターンに比べると現実のリターンはいくらかしょぼいものになります。
金利の低下も踏まえると、ぶっちゃけ、株式以上のリターンを今後求めるのは不可能でしょう。リスクリターン比も悪化すると思います。
6 ポートフォリオに少量混ぜておくのがいいのではないか
私の考えを述べておくと、ゴールド同様、ポートフォリオに少量混ぜておくとポートフォリオの脆弱性が低まるのではないかと思います。
リターンについては期待するなと散々煽ってはいますが、しかし、相関のなさというのはやはり大きなメリットで、これらは株式どころかAGG・BNDとの相関すら低いという謎の性質を持っています。レバレッジとカバードコールのなせる業なのでしょう。
ならばとゴールドと比べてみても相関は低いです。
このような他のアセットと相関が低いアセットは、ポートフォリオに採用しておくと何かといいというのが一般的な結論になります。
ポートフォリオというのは含まれている資産同士が良い感じにばらばらに動くのが理想です。だったら相関はゼロに近いもしくは負であるのが理想的になります。
中身は債券ですし、その安全性を踏まえると、入れておいて損のないアセットだと思います。
さいごに
あまり耳馴染みのないCEFですが、BHKとRCSに関しては意外なほどに魅力的なファンドでした。
なんだかんだいいつつも中身はクオリティの高めな債券達です。運用形態はやや特殊ですが、ETFに投資している人ならば同じ感覚で投資できます。
私もCEFについてはまだ調べてる途中なのでうかつなことは言えませんが、この記事で紹介しているものについてはリーマンショックを乗り越えていますし、そんなに警戒するものではないように思えます。運用会社も信頼できる二つですしね。
とはいえ、金利の下落余地が小さい今現在の状況を踏まえるとこれまでと同じようなリターンを期待してはいけないことは確実なのでそれだけ注意です。ポートフォリオに入れるか否かの決定は他アセットとの相関の低さを評価するかしないかで決めるべきでしょうね。
お読みいただきありがとうございました。