どうも、あいうえです。
今日のテーマは近頃軟調なゴールドについて。
下がってるものを買いたがる性分の投資家としては軟調なアセットに注目してしまうものなのですが、今日はそれでもゴールドの買いに出動しにくい理由を述べていこうと思います。
1 底打ち感の出てきたゴールド
ゴールドについてはブルームバーグが近頃
「ついに望み捨てた」-すっかり輝き失った金に投資家あきれ顔 - Bloomberg
という記事を出しました。
こういう記事が出てくるとそろそろ底打ち……という風潮がありますよね。
(まあタイトルはあくまで執筆者の主観でつけられるものなので、タイトルだけを見てあれこれ言うのは意味がないですが)
また、米国債のショートポジション・ドルのロングポジションと時を同じくしてゴールドの投機的なショートポジションが歴史的な量になっています。
なんと2001年ぶりにゴールドのポジションがネットショートになったとか!
いやはや、これはゴールドを買うしかありませんねぇ!!!????
2 そもそもなぜゴールドが下がっているのか
ところで、ゴールド価格はなぜ下がっているのでしょうか?
原因は明らかで、ドルインデックスの上昇です。
貿易戦争、トルコリスクを受けた投資家が米ドルに逃避しているのです。
え、金はリスクオフで上がるんじゃないの?とお思いの方がいると思いますが、金価格の上昇はリスクオフよりもワンテンポ遅れる傾向があります。リスクオフが進み、結果米国の利下げまで到達してしまうと金価格が上がるという方が正確ですね。なので、ちょっとしたリスクオフではそう簡単に上がるものではありません。
(なので、真面目にリスクオフに備えるなら米国債か、ドル円のショートあたりが一般論としてより適しています)
なので、有事のドル買い、質の高い「通貨」への逃避が進んでいるうちは金価格は下落していきます。
また、今回に関して言えば装飾品としての金需要を多く担っている中国が当事者だというのもあるでしょう。
3 ドル高トレンドは反転するのか?
じゃあそのドル高トレンドはどうなのよ?というのが次の問いです。
「わからない」という答えを封じるのならば、短期的には一旦ドル安(ドル高小休止)、中期的にはもう少しドル高になるのではないかというのが私の予想です。
まず短期的な予測ですが、投機筋のポジションを見るに、これ以上順調にドル高が進むようには思えません。すでに売り込まれてるのに3%をなかなか越えられない長期金利がいまさら上がるようには思えませんし、トルコネタの消費期限が尽きてきた今、あとは貿易戦争がどうなるか次第ですがこれも強い材料になりうるか……。
とはいえ、9月の利上げはともかくとして、市場がまだ織り込み切っていない12月の利上げをFRBが実行すると債券が売られ・ドルが買われ、そして金が売られるという展開になる可能性はあると思います。まだ市場は12月の利上げを6割程度しか織り込んでいませんからね。これが中期的な予測です。
というより、FRBが利上げを続けている間(少なくとも年内)に強いドル安トレンドが生じるようには思えません。長期金利が大きく下落する展開になれば、ドル安が進むような気もしますが、そもそもフラット化している長期金利にはそもそも大きく下落する余地がありません。
確信をもってドルは安くなるという言えるような材料がどこにもないのです。
4 金相場の頼りはショートカバーしかないのではないか
FRBが利上げを続けていく以上、金相場が反転すると仮定したら頼りとなるのは、圧倒的なまでの金の売りポジションの解消しかありません。広義な意味でのショートカバーといってもいいですね。
おそらく、ドルは少し買われ過ぎで、金は少し売られ過ぎです。
なのでそれが修正される過程である程度金相場は反発をするのではないか……という風には思います。下落トレンド中の調整という感じですね。
しかし、FRBが金利を引き上げている最中にショートカバーを頼りにした買いを入れるくらいなら、金相場が反発したときに戻り売りを仕掛ける方が普通じゃないでしょうか?
下落トレンド中の一瞬の反発を期待して買いに行くというのはつらいものがあります。
それに、もしドル高トレンドが反転してドル安に変わっていくというシナリオが実現したとして、そこで待っているのは普通に考えれば円高です。上値が重くドル高トレンドに乗り切れていないドル円が、ドル安トレンドになっても底堅さを見せる……という予想はやや楽観的すぎます。上がる時に上がらないのに、下がる時はしっかり下がるドル円の姿を知らない人はいないでしょう。
さいごに
今から買いに行ったとして、上昇シナリオが「行き過ぎたドル高の修正」以外に私には思いつきません。少なくとも、ドルインデックス的に見た金価格は適正水準です。
しかし、景気後退がいつくるかわからないなかでそのシナリオに賭けるというのはあまりにもギャンブル性が強すぎます。短期的にドルは軟調になるかもしれませんが、中期的に見た時に買いなのはゴールドよりもドルであり、さらに言えばドルよりも円なのです。というより、本当にドル高が行き過ぎているのかすら微妙です。
ここで金関連を買いに行きたいのならば、売られ過ぎていると強い確信を持てる金鉱株か、テクニカルを駆使して短期的に勝負を仕掛けるかという感じしかないように思います。まあ、推奨しません。
まとめますと、金相場というのは株式と違い「適正価格」というものがわからないので難しいところはありますが、ドル高・ゴールド安が多少行き過ぎているにしても今から金相場に買いで参入するのは難しいというのが私の結論です。
お読みいただきありがとうございました。