どうも、あいうえです。
今日はちょっと(?)癖のあるETFを見てみようと思います。
その名はSPYB――SP500 Buyback Index に連動するETFですね。
軽ーく調べてみたので、それを書き記していきます。
1 SP500 Buyback Indexとは
SPYBは経費率が0.35%のSP500 Buyback Index に連動するETFなので、これからはこのインデックスについてみていきましょう。
SP500 Buyback Indexは、SP500企業のうち、(自社株買い総額 / 時価総額)で求められる過去一年に買い戻された株式の割合が多い企業TOP100によって構成されるインデックスです。
そして、これは均等加重インデックスで、リバランスは3か月ごとに行われます。
2 SP500を上回るトータルリターンを出している不思議?
そんなSP500 Buyback IndexはSP500と比べた過去10年の成績が非常にいいです。
均等加重だから成績よくなってるだけじゃね?という疑いのもと、SP500の均等加重インデックス(EWI)と比較してみてもそれすら軽くアウトパフォームしています。
この傾向はリーマンショック以降ずっと見られているものなのですが、前年度発行済み株式が減ったらその後のリターンがいいというのは少し不思議です。
自社株買いはそれこそアナウンスされるだけで株価があがる(織り込まれる)ことがありますし、普通に買い戻してる最中に上がるのもわかるのですが、前年度沢山買い戻したら次の3か月間(リバランスは3か月ごとなので)のリターンがいいというのは少なからず不思議な感じがします。
えっ、そのタイミングで!?みたいな。
3 なぜリターンがよくなるのかということについての考察
候補1
リターンが良いときというのはひとまずボラティリティを疑うのが定石なわけですが、このインデックス、普通のSP500よりはボラティリティが大きい一方で、SP500EWIと比べると同じくらいのボラティリティなので、高リスクだから高リターン説では説明できないプラス部分が存在することになります。
ボラティリティが大きいのは均等加重の影響を受けたものであって、自社株買いによるスクリーニングの影響ではないということですね。
候補2
第二候補はモメンタム説。
過去一年間に大量の自社株買いをした株式というのは普通に考えれば過去一年間のリターンがいいはずです。また、それだけの自社株買いをできる利益を稼いでいる企業であることもわかります。
なので、株式のリターンの意味でのモメンタムはいいですし、業績も好調なはずです。もしかしたら大量の自社株買いをさらに予定していたりするかもしれません。
SP500 Buyback Indexはそのような株式を選別する働きがあるので、結果的に成績がよくなるのは当然という説です。
しかもこいつ、3か月に1回リバランスするので、業績が悪くなって自社株買いする体力がなくなったり、社債発行を使った自社株買いブーストを使い切って自社株買いをしにくくなった企業とはすぐにおさらばします。すぐにポイです。
この成績の良さを好意的に解釈するとこんな感じになりますかね。
候補3
今度は逆に穿った解釈もしてみましょう。
穿った解釈も個人的には有力だと思っていて、低金利による自社株買いが「ブーム」になっているという説になります。
これは自社株買い自体が多いということもありますし、投資家が企業の自社株買いに注目しているという意味でもありますね。
自社株買いが嫌いな人っていないと思うんですよ。配当金より税金効率いいですからね。
なので投資家も自社株買いに注目しますし、企業もそれに答えるわけです。すると自社株買いが過大評価される可能性に繋がっていきます。
その分が先ほど見たようなアウトパフォームに繋がっている可能性はありますよね。
ちなみに、米国版Morningstarのサイトにいけば個別株の自社株買い性向が分かったりします。ETFのが分かるサイトが今のところなさそうなのは残念ですね……。
さいごに
SP500 Buyback IndexがSP500を軽々とアウトパフォームしている理由について考察してみました。
まあこれからどうなるのかというのはよくわからない(なんせデータが10年分しかないので)ところがあるので、今後普通に成績が悪い可能性は普通にあるのですが、一つ注目しておきたいETFではあります。
自社株買いはなんだかんだ言って配当金に比べると歴史が浅いので、微妙に研究が進んでいない節があります。
興味を持って観察してみると面白いかもしれませんね。
お読みいただきありがとうございました。