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【短期債+長期債】バーベル戦略を取る債券ETF【IMFC】


どうも、あいうえです。

 

昔、金利上昇期における債券戦略について書いた記事で、債券についてバーベル戦略を紹介しました。

 

今日はバーベル戦略を行う債券ETFを見つけたので見ていこうと思います。

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1 バーベル戦略とは

 

とはいえ、バーベル戦略という言葉に馴染みのない方も多いと思いますのでまずはその紹介から始めます。

 

債券投資というのは信用リスクと金利リスクをどれくらいとるかの勝負です。

 

信用リスクとはデフォルト率のことで、デフォルトすれば債券が紙屑になってしまうということで大事です。

 

一方で金利リスクというのは金利の変動に対して債券価格がどれくらい変わるかというもので、一般には残存期間に比例して大きくなります。

 

もしかしたら、債券は満期まで待てばリターンは確定してるから金利リスクは存在しないと思われる人がいるかもしれません。しかし、株式と債券を60:40で持つポートフォリオにした場合にはリバランス時に債券を(満期を迎えていないにも関わらず)売ったりするように、世の中の債券投資では満期まで持たない場合も多いです。急に手元に現金が欲しくなる場合もあるでしょう。

 

途中で売る場合にはその売値が大切なわけです。なので一般には金利リスクも存在するとされています。

 

そして、この項のテーマになっているバーベル戦略は金利リスクをどうするかに関連する戦略の一つで、中期債を持たずに短期債と長期債だけをもつ戦略を指します。

 

短期債に安定度と流動性を、長期債に利回り確保の役割を分散させるバーベル戦略は、デュレーションが中期債のみのポートフォリオと同じであるにもかかわらず金利の変動に強いとされます。

(中期債のみのポートフォリオに比べてコンベクシティという指標が高いのが理由だとされますが、そこらへんについては私に詳しく聞かれても完璧には答えられないのでご了承ください……)

 

そのため、比較的人気の高い手法なのですが、デュレーション当たりの利回りに関しては中期債オンリーに劣っているため金利安定期には相対的にリターンが落ちること、またベアスティープ化に非常に弱いことがその弱点とされています。

 

債券において、金利が全体的に上がることをベア(弱気)下がることをブル(強気)と形容し、長短金利差が拡大することをスティープ化、縮小することをフラット化と形容します。

 

バーベル型はブル相場においては金利変動に強いということで良好な成績を残し、ベアフラット化においても長期債の価格が下がらないことから比較的良好な成績を残すのですが、ベアスティープ化についてだけは長期債の価格が下落するということで成績が非常に悪化します。

 

とはいえ、ベアスティープ化が進むような状況は(対象の債券が信用度の高いものであれば)景気が良好な証なので株式を保有することでそのリスクをカバーできます。

 

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2 IMFCについて

 

IMFCというのは以下のように作られた債券ETFです。

 

残存期間30年のモーゲージ債40%

ディフェンシブ投資適格社債25%

1-3年物米国債20%

10-30年物米国債10%

バリュー投資適格債5%

 

ディフェンシブとかバリューとかについてはまあ特に理解する必要はありませんが、とりあえずディフェンシブの方は残存期間が3-10年に制限されているみたいです。

 

ということでこのETFは長期の方にモーゲージ債を、短期の方に投資適格社債を保有しながら全体的に米国債のスパイスをかけたETFとなっております。

 

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https://www.invesco.com/portal/site/us/investors/etfs/product-detail?productId=IMFC&ticker=IMFC&title=invesco-multi-factor-core-fixed-income-etf


下半分の図表を見ればわかるのですが、1-5年と25年以上に多くの債券が含まれているという意味でザ・バーベル型ですね。

 

また、今度は上半分を見ればわかるのですが、モーゲージ債と米国債で70%を占めているこのETFはAAA格付けの債券の保有割合が圧倒的に多く、信用リスクが非常に少ないのも特徴です。

(比較的信用リスクの高い投資適格社債の保有が年限の短いところに集中しているのも信用リスクの低下に役立っています)

 

特に30年物のモーゲージ債を40%と多めに含んでいるところが特徴的ですね。政府による保証があるにもかかわらずモーゲージ債は米国債に比べて利回りが高いので、それを利用してデュレーション当たりの利回りが低いというバーベル戦略の弱点をカバーしようとしてるのがみえます。

 

しかし、モーゲージ債は米国債に比べ相対的に「金利下降に弱く金利上昇にも弱い」という性質を持っているので、バーベル型の「金利変動に強い」というメリットが弱まり、「ベアスティープ化に弱い」というデメリットが強化されているところには留意が必要です。

(モーゲージ債についてはコンベクシティが負であるという説明がよくなされます。モーゲージ債に関する詳しい説明はRMBS(住宅ローン担保証券)とは | PIMCOへどうぞ)

 

なお、経費率は0.12%、2018年7月現在のデュレーションは5-6年の間となっております。

 

3 AGG・BNDとの比較

 

債券ETFと言えばAGG・BNDとの比較は欠かせません。

 

まずは格付け構成から見ていきますと、IMFCのはAGG・BNDと同じ感じであることがわかります。(図は省略)

 

ただしその中身は微妙に違っており、AAA格についてIMFCはモーゲージ40%、米国債30%であったのに対しAGG・BNDはモーゲージ30%弱、米国債40%弱です。

 

モーゲージ債は米国債と比較してリスク・リターンが共に優れているというデータがあるのでモーゲージ債を多めに含んでいるのはIMFCのいいところでしょう。

 

モーゲージ・米国債以外の債券が投資適格社債であるということについてはIMFCとAGG・BNDの間に違いはありません。

 

そして一番の違いは残存期間の違いでしょう。

 

1-5年と25年以上の債券が9割程度占めるIMFCに対してAGGの満期構成は以下の通りです。

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結構バラバラですよね。10-20年の層が薄いですが、ラダー型に近い雰囲気です。

 

この違いがどのように出るのかというのは今後の相場環境次第ではありますが、残存期間が長い部分についてIMFCが信用リスクのないモーゲージ・米国債で固めているところを考慮すると、信用リスクが低いのは明らかにIMFCでしょうね。

 

AGGは債券の組み入れ割合が債務発行残高加重ということで残存期間の長い社債も多く含まれています。まあそれでも投資適格債じゃん……?とはなりますが、現在の債券は思っている以上にリスクが高いという話で述べたようなことが気になりますので……。

 

さいごに

 

IMFCはデュレーションや利回りを見るだけではAGG・BNDとあまり変わりません。

 

しかし中身を見てみると随分と違っており、IMFCは安全度の高い債券で残存期間が長めの部分を固めながら、短期側でやや信用リスクを取るという運用方法を取っています。

 

しかも、債務発行残高加重というガバガバシステムを使ってるAGG・BNDと違い、ETFを構成している債券の中身が変わりにくいという性質も持っています。

 

AGG・BNDは社債市場が大きくなればなるほど社債の組み入れ割合が増えていきますし、長期債が発行されればされるほどデュレーションも伸びていきます。社債発行の増加と残存期間の長期化はどちらも景気サイクル後期によくみられる現象であるにもかかわらず、景気後退時のクッション役であるAGG・BNDは金利リスクと信用リスクを積み増していくのです。

 

それに対してIMFCはそもそも組み入れる債券について40%がモーゲージ、30%が米国債、30%が社債だと決めていますし、その社債についても残存期間が10年以下という制限を設けています。少なくとも「気付いたら想定以上のリスクをとっていた」という事態は防げるでしょう。

 

私はIMFCの方が好きですね。

 

この記事を書いているのは2018/7/28で、IMFCは運用開始が2018/7/25なので出来立てほやほやETFなのですが詳しく見れば見るほどこちらの方が魅力的に思えます。どっちのがリターンがいいというよりも、どっちのがリターンが計算できるかという意味でIMFCに軍配があがります。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

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