どうも、あいうえです。
今日は地方債ETFの紹介をしようと思います。
米国地方債には免税のものと課税のものがあるのですが、どうせ日本で課税されるから免税のメリットが一切ないということで本ブログでは免税地方債ETFの紹介を控えていました。
(というか免税地方債は課税地方債に比べて免税分利回りが低いので、免税がメリットどころかデメリットになってます)
なので、課税地方債のETFねーかなと思っていたのですが、今日普通に見つけたので紹介していこうと思います。
1 米地方債とは?
地方債とは文字通り、米国の地方政府が発行する債券のことです。ただし、一部非営利団体によって発行されている場合もあります。
その使い道は一般にはインフラ整備などと言われており、返済は基本的には税収によって賄われます。まあ、政府の債券と似ていますね。
というか、普通に日本でも地方政府による債券が発行されているので「県・市の名前+債」でググればでてきます。一部の証券会社は当然として、地銀などでも購入することができるので、個人向けが発行されている場合は自分の住んでいる自治体のを買うこともできます。
話を米地方債に戻しますと、ほとんどの米地方債はその使い道の公益性を鑑みてるのか知りませんが非課税です。(ちなみに日本の地方債はいつもの20%+α課税です)
しかし、日本から米地方債(もしくはETF)を購入したところで税金は日本の税制に従うので普通に課税されます。悲しいなぁ。
なので冒頭に書いた通り、米地方債は免税分利回りが低くなっているのが普通なので日本から購入するとリスクリターンが悪化します。リスクが変わらないのにリターンだけ減るという形になりますからね……。
……しかしそこで登場するのが課税地方債。実は、公益性がなさそうな地方債は米国においてでも課税対象となります。つまり、課税分免税債にくらべて利回りが高くなっているので、発行体が同じだとリスクが同じであるにもかかわらずリターンが改善するわけです。やったー!
ということで、次項から米課税地方債(インデックス)のリスクリターン特性を見ていきましょう。
2 米課税地方債インデックスのリスクリターン特性
以下図表の引用元は
https://www.wellington.com/japan/insights/us-taxable-municipal-bonds-primer/?_c=ibr82f
とはいっても、私が自分で調べられるものではないので上記のレポートにある図表を使います。
私これを初めて見たときは少し驚きました。格付けを見てもらえば分かるのですが、地方債は格付けが高位の物が多いです。AAAもそうですし、AAランクの割合が非常に多いです。投資適格ギリギリが多い社債に比べたときのその差は圧倒的なのですが、しかし、なぜか地方債の方が利回りが高いという現象が発生しています。
その理由を少し長いデュレーションに求めるのは簡単ですが、それにしたって利回りが高すぎます。また、格付けごとのデフォルト率のグラフが以下になります。
正直、これは何かしらの詐欺なのではないかというくらい、安全度に対する利回りが地方債は高いです。
ということで何かしら理由があるはずだと思っていろいろ探してみると、まずは流動性リスクの6文字が見つかります。
課税地方債はそもそもの発行残高が他に比べて非常に少なく、発行残高が少ないとされる免税地方債のさらに数分の一という状況です。参照する原資産がそのような状況では流石に流動性リスクがあると言えるでしょう。
(多くの投資家がETFを売ると、運用会社も保有している原資産を売る必要がでてきますが、買い手がいないために売れないという状況が発生するかもしれません)
流動性リスクはしばしば過小評価されやすく、いつまでもあると思うな親と金と流動性ということわざがウォール街にあるほどですからね(要出典)
とはいえ、先述したように格付けの高い債券が多い地方債において流動性が枯渇するリスクがどれくらいあるかと言われると怪しいものがあります。株式市場と比較した際のベータ値は低位ですし、値動きだけを見れば投資適格社債よりも安全度が高く評価されているように見えますし、インデックスに含まれている債券の格付けや、格付けごとのデフォルト率もそのデータを裏付けるものです。
なので、流動性リスクじゃないとすると、次に気になるのは米国の地方政府の財政リスクです。デフォルト率が低いと行っても税収がある地方政府がなかなかデフォルトしないのは当たり前の話なので、将来見込まれるデフォルトリスクを見る必要があります。
するとわかるのが、一部の地方政府の財政はかなり悪いということ、そして課税地方債は年金不足などのために発行されることが多いということです。あーなんかリスクが高そうな話になってきました。お金があれば人気のない課税債をわざわざ発行する必要がありませんから……。
ただ、どうなんですかね。曲がりなりにも地方「政府」です。デトロイトの財政破綻とかは有名ですが、税収が不安定といっても企業よりは安定しています。
うーん。もしかしたら免税品があるなかで課税される債券は人気がないというだけの話なのかもしれません。
3 BABについて
ということでもはやおまけですが、BABについても書いておきますと、BABは課税地方債に投資するETFで経費率は0.12%です。
BAB(青)、投資適格社債(赤)、ジャンク債(黄)の値動きは以下の通り。
これはトータルリターンですが、こうしてみると利回りが言い分リターンも良好なのが分かりますね。そして値動き自体は赤色の投資適格社債に似ていることもお分かりいただけると思います。これだけを見れば、投資適格社債のただの上位互換じゃんとはなるのですが……どうなんでしょうね。私にはわかっていないリスクがあるのかもしれません。
さいごに
ということで、米国地方債ETFの紹介でした。
米国債の陰に隠れがちなのですが、思ったより魅力的な債券でしたね。一方で財政に対する心配もあるというのが私の考えです。
日本においても、購入するのは難しいですが地方債が販売されているので、興味のある方はそういうのを探してみてもいいかもしれません。
お読みいただきありがとうございました。
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