どうも、あいうえです。
今日はどちらかという高配当で知られているイギリス株の紹介をしようと思います。
iSharesが運用しているETFであるEWU/EWUSは日本の証券会社では取り扱いがないので、多くの方はおそらく1389を使うことになるでしょう。マーケットメイク制度が導入されたので流動性もばっちりです。
1 イギリス株は先進国の中でも珍しいセクター構成
まあ、四の五の言わずにまずはセクター構成を見てみましょう。
一位は金融セクターでさすが金融大国イギリス……といいたいところですが意外とギリギリ。
そして二位がなんとエネルギーセクター。
北海油田が有名なのは知っていましたが、原油価格崩壊の影響がまだ抜けきっていないにも関わらずエネルギーセクターが金融セクターに迫る2位なのには驚きです。
そして最下位はなんと……あの情報技術セクター。てゆーかほぼ0です。
先進国どころか、とても2010年代後半のセクター構成には思えません。
この特徴的なセクター構成は分散という意味では非常に有用そうです。
https://www.blackrock.com/investing/products/239691/ishares-msci-united-kingdom-smallcap-etf#/ ちなみに、小型株ETFのEWUSセクター割合はこんな感じ。ずいぶんと見慣れてるセクター構成に早変わりです。
2 イギリス株は高配当
そんなイギリス株、実は高配当であることでも有名です。
アメリカ株では普通のETFで配当は2%弱、高配当で3%を超えるくらいが普通ですが、イギリス株は普通のETFで3.5%……いや、1389をみたら4%超えてました、高配当系ではなんと5%を超える配当利回りを誇っています。イギリス株がエネルギー株の影響で株高についていけてないことを踏まえても高いといえるでしょう(注:2018年7月現在)
しかも、イギリスでは配当にかかる源泉徴取税が0%ということで高配当好きな投資家にとっては神様のような土地です。
まあ、なぜそんなに高配当なのかというと、実は深い意味があるわけではなく、イギリスでは自社株買いが盛んではないというだけの話なんですけどね。
アメリカは、連続増配という称号に価値を見出しているせいか企業は配当よりも自社株買いの方が現在では盛んです。そうして増配余力を残すわけですね。
参考:自社株買いの利点と欠点【借金をして自社株買いをする?】
一方でイギリスはそんな文化がないのか、自社株買いが嫌いなのか知りませんが配当金として株主還元するのが主流です。なので、同じくらいの業績ならイギリスの方が配当利回りが高いのは当然です。
その違いのせいで、株価チャートだけをみると、アメリカ株と比べた時のイギリス株の成績悪ぅ!?ってなってしまうのですが実はイギリス株の成績はかなり良かったりします。
リーマンショック以前は原油高だったので当然として、リーマンショックで底を打った後の回復局面では何年もの間アメリカ株に追随していました。……まあ、原油安で大幅なダメージを負ったんですけどね。
3 他にもある!?イギリスのいいところ!
世界的な先進国として日独米英というのを聞いたことがある人も多いとは思うのですが、この4つを比べた際にイギリスが明らかに優れている点があります。
そう、それはイギリスのうざいまでのしたたかさ。
しばしばば汚い言葉で罵られてしまうほどの謎のしたたかさをもつイギリスですが、それは金融・財政政策にも発揮されています。
イングランド銀行の量的緩和からの出口政策について 斉藤美彦|第98号(2017年6月)|証券経済研究|出版物・研究成果等|日本証券経済研究所
少し長いかなという感じもしますが、上記の論文の要旨を読んでみましょう。
今次金融危機後において,主要中央銀行は名目金利の引下げ余地が無くなったこともあり,非伝統的と一般に呼ばれる金融政策を採用せざるを得なかった。イギリスの中央銀行であるイングランド銀行(BOE)も2009年以来,量的緩和政策を採用してきているが,他の中央銀行と異なり,それを子会社である資産買取ファシリティ(APF)を通じて行い,それに損失が発生した場合には財政負担とするとの取決めがなされていた。その取決めの下におけるAPFと財務省の間の資金移転の方式については,当初のAPFの解散時における一括清算から,四半期毎の資金移転へと変更された。そしてこの時点でBOEは,APFの損益の将来予想についての論文を『イングランド銀行四季報』に発表し,透明な出口政策を志向している。
アメリカのFRBに続いて,出口を出ると予想されていたBOEは,2016年の国民投票の結果からの経済情勢の変動を受けて,2016年8月に追加緩和措置を発表し,出口は遠のき,APFにおける損失発生の可能性も高まることとなった。しかしながら,出口政策の概要やリスクについて説明した論文の公表は,将来予測を容易化するし,中央銀行のバランスシートの毀損を回避するように設計されたイギリスの非伝統的な金融政策における工夫が,実際の出口においてどのように作用するかについては注目されるべきであろう。
成功するかはさておきとして、量的緩和を始めたときから、円滑な出口を迎えるための最大限の努力が行われているという類の内容なのですが、私はこれをみたときに「さすがイギリス」と思いました。
幾人ものエコノミストが似たようなことを言っているにも関わらず中央銀行が封殺している日本との違いといったら。
片や始める前から準備を始めており、片や終わりすら見えない状況で中央銀行が宗教を創始ですからね。
量的緩和一つとってもこれだけの違いがイングランド銀行と日本を含めた他銀行にあるわけです。
もちろんそれが株式のリターンにどれほど影響するのかと言われたら確かに困るところがありますが、しかし「イギリスポンド」という資産クラスを持つのには十分すぎる理由ではあります。
あ、念のために買いておきますがイギリス経済が順風満帆とかそういう話ではないですからね。あくまで、イギリス人はしっかりすべきところでしっかりしてる、という安心感があるという話です。
さいごに
ということでイギリス株に投資するETFの紹介でした。
イギリス株には高配当、それも現地での源泉徴取がないという結構すんばらしい株式です。
EU離脱も心配と言えば心配ですが、先を織り込む性質を持っているのが株式ですからその影響はある程度まで織り込み済みということでこれから買う分にはあまり心配いらないような気がします。予想外の事態が起きた際に責任はとれないですけどね……。
お読みいただきありがとうございました。
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イギリスとは理由が違いますが、オーストラリア株も高配当です。
ただ何が問題って、EWAは日系の証券会社だと取り扱いがないんですよねぇ。これは書いてから気付いたので完全なミスです。検索流入が期待できないのでここで供養……。
これまでに紹介したETF