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ブラックロックでまなぼ 第四回「イールドカーブのフラット化について」


どうも、あいうえです。

 

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今日はブラックロックでまなぼ第4回ということでイールドカーブについて。

 

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上図はアメリカの長短金利差を表した図なのですが、長短金利が逆転したあとにはしばしば景気後退に陥る(灰色の部分)ということで、長短金利の縮小、つまりはイールドカーブのフラット化については警戒している投資家が多いと思われます。

 

今日はイールドカーブのフラット化について、ブラックロックが一つブログ記事を書いていたので紹介してみましょう。

 

ちょっと長いですが、それだけにしっかりと内容があるいい記事だと思います。

 

 

1 記事の内容

 

引用元:

What 1969 can teach us about today’s flat yield curve | BlackRock Blog

 

The persistent flattening of the U.S. yield curve has investors scratching their heads–and searching for historical parallels. The recession of 1969-70 is one worth considering. 

 

訳:持続しているアメリカのイールドカーブのフラットニングが投資家の頭を傷つけ、類似する歴史を探させている。そして、1969-70年に起こった景気後退は考えるに値するだろう。

 

A closer look at the late 1960s reveals some parallels with today’s U.S. economic backdrop, as we write in our Fixed income strategy piece Summer of ‘69.

  • Inflation was on the rise (albeit much more sharply than today) after a prolonged period of languishing well below 2%.
  • The unemployment rate had steadily fallen to long-term lows below the 4% mark.
  • The economy was receiving a hefty boost from fiscal stimulus (from President Lyndon Johnson’s Great Society programs and Vietnam War spending)–at a time when the cycle was already looking long in the tooth. This parallels the tax cut and spending stimulus currently hitting the U.S. economy, which we see adding as much as one percentage point to growth this year.

 

訳:1960年代をよく調べると、現在の米国経済の背景といくつか共通点がみつかる。(Summerおぶ69とやらは最初に張ったリンクから興味のある人は見てください)

 

・インフレ率が長い間2%を下回ったのちに上昇をし始めている(もっとも、1960年代の方が今日よりも急に上がっているが)

・失業率が長い間着実に下がり続け、4%を下回っている。

・経済が財政支援による多額のブーストを得ていた。(ジョンソン大統領による偉大な社会政策とベトナム戦争)現在で言えば減税と財政支出による経済の刺激によって、成長が1パーセント伸びている。

 

In the mid-1960s, the Federal Reserve shifted from inflation-creating to inflation-fighting mode quickly, as shown in the Mad (money) men chart below. This contributed to a market downturn fueled by overheating–our lead fixed income theme for this year. Back then, late-cycle fiscal stimulus contributed to runaway inflation. The Fed aggressively raised rates, inverted the yield curve–and a recession followed.

 

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訳:

下図を見れば分かるように、60年代中盤、FRBはインフレ促進からインフレ退治に素早く舵を切った。(訳者注:PCEはCPIの亜種みたいなもんです)それによって市場は低迷した。( fueled by overheating–our lead fixed income theme for this year.はよくわからなかったのですが、元ページに行って下線をクリックすると別の記事に飛ぶのでそれの宣伝だと思われます)

当時、景気サイクル終盤での財政刺激はインフレを生み、FRBが急速に金利を引き上げ、長短金利が逆転し、不景気に突入した。

 

Is a curve inversion–a frequent leading indicator of recession–ahead this time around?

We do not think so. The economic backdrop today is different in key ways from 1969 and 1970.

Today’s flatter curve was the intention and result of the Fed’s quantitative easing (QE) program as well as global QE programs pushing all term premia–the compensation for investors moving out the yield curve – lower than in the past. And inflation risks are much less apparent today, as we write in our Weekly commentary Taking stock of U.S. rates. Our BlackRock Inflation GPS points to only a modest rise in U.S. inflation. And it sees inflation stuck well below target in Japan and the eurozone. Technological innovation, globalization and aging populations also all suggest a lower likelihood of inflation rising.

We also see no imminent warning signs of recession, as detailed in BlackRock’s Q2 investment outlook. This underpins our overall preference for equities over bonds. But how any recession manifests matters.

 

訳:今回の長短金利の逆転も景気後退の先行指標になるのでしょうか?

私たちはそうは思いません。今回の経済の背景は1969-70年のときとは違います。今日のフラット化したカーブはFRBの量的緩和プログラムの意図と結果だけでなく、すべてのタームプレミアム(時間にともなうプレミアム)を低くしているグローバルな量的緩和の結果なのです。ウィークリーコメンタリーに書いているように、インフレリスクは明らかに低いです。そして、ブラックロックのインフレーションモデルによると、インフレはゆっくりとしか上がりません。日本とユーロ圏のインフレ率が目標を下回っていることからもわかります。技術革新、グローバリゼーション、そして高齢化もインフレ上昇の可能性が低いことを示しています。

さらに、ブラックロック市場見通しに記述したように、景気後退の差し迫った兆候も見られません。これは、債券に対する株式の全体的な優位を示しています。しかし、どのように景気後退が顕在化するのかというのが問題です。

 

How does a cycle end?

We see the possibility of financial stability concerns manifesting long before inflation risks do in this cycle. Today’s backdrop looks all too much like cycles of the recent past: a prolonged reliance on highly accommodative financial conditions creates vulnerabilities to financial shocks. A financial shock is deflationary–falling markets collapse confidence, leading to lower spending, investment and hiring. In response, the central bank moves toward accommodation mode sending bond prices up.

Today’s lower rates might suggest the Fed has less ammunition than in the past. But former Fed Chair Janet Yellen argued in her 2016 Jackson Hole speech that the Fed still had plenty of tools to fight the next recession. We believe the current Fed leadership likely shares this view.

 

Either it overheats with high inflation, or a financial shock causes a recession through the financial conditions channel.

We see the possibility of financial stability concerns manifesting long before inflation risks do in this cycle. Today’s backdrop looks all too much like cycles of the recent past: a prolonged reliance on highly accommodative financial conditions creates vulnerabilities to financial shocks. A financial shock is deflationary–falling markets collapse confidence, leading to lower spending, investment and hiring. In response, the central bank moves toward accommodation mode sending bond prices up.

Today’s lower rates might suggest the Fed has less ammunition than in the past. But former Fed Chair Janet Yellen argued in her 2016 Jackson Hole speech that the Fed still had plenty of tools to fight the next recession. We believe the current Fed leadership likely shares this view.

 

 

訳:どのように景気サイクルは終わるのだろうか?

高いインフレを伴う景気過熱なのか、それとも金融危機がリセッションを引き起こすのでしょうか?

我々は、インフレリスクが起こるよりもずっと前に金融の安定性に対する懸念が顕在化すると思っています。今日の状況というのは近年のサイクルにあまりにも似ているように思えます:緩和的な金融情勢への長引く依存は、金融危機への脆弱性を生みます。金融危機はデフレを起こす――急落する市場が自信を失わせ、消費、投資、雇用を減少させる。そして中央銀行は緩和的になり債券価格が上昇する。

今日の低い金利は、FRBの弾薬が過去に比べてすくないことを意味する。しかし、Jackson Holeはスピーチで、FRBは次のリセッションと戦うための多くの道具をもっていると主張した。我々は、今のFRBの指導者がこの見解を共有していると考えている。

 

The implication

A recession prompted by financial shock could see a large monetary easing with potential for a return to zero or even negative rates–and a possible reboot of QE. The use of these unconventional policy tools would once again lower rates across the curve, increasing the value of bonds.

Bonds tend to perform well in such deflationary recessions, but they can fail to offset equity losses amid rising inflation fears.

Bottom line

For investors unsure of the path toward an eventual recession, having a foot in both camps may work best as the cycle matures. For a growth shock, some long duration strategies either in core fixed income or municipal bonds can serve as a hedge. For an inflation shock, short duration, floating rate, inflation linked and credit exposures can act as better offsets to equity exposures under an overheating scenario.

 

訳:含意

金融危機によって起こされた景気後退は、ゼロ金利・マイナス金利の可能性を含む金融緩和や、量的緩和の再開を引き起こすかもしれません。このような非伝統的金融政策はまたもやすべての年限における利回りの低下・債券価格の上昇を引き起こします。

債券はこのようなデフレを伴う景気後退にはうまく働きますが、インフレの懸念が高まる中で株式の損失を相殺することができません。

 

結論

最終的な景気後退への道筋が決まっていない場合、両方の陣営に足を置いておくことがサイクルが成熟するにつれて最もうまくいくことがあります。

成長ショックの場合は長期債・コア債券もしくは地方債がヘッジとして機能しますし、インフレショックの場合は短期、変動金利、インフレ連動債、社債へのエクスポージャーが過熱シナリオ下での株式に対する埋め合わせとして機能します。

 

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2 感想

 

いやぁー長い記事でしたね。

 

ということでちょっとした解説&ちょっとしたコメントをしていきましょう。

 

まずは、今回は長短金利の逆転が景気後退の先行指標になりえないというブラックロックの見解について。

 

おそらく「はいはいThis time is differentですか。ブラックロックまでそう主張するとは景気はそろそろピークアウトかな(笑)」なんて思う人がいるとは思うのですが、しかし、よくみるとブラックロックの主張がそんなに単純なものではないということが分かります。

 

そもそも、なぜ長短金利は逆転するのでしょうか?

 

冷静に考えて、FRBがそこまで金利を上げなければいいじゃんと話ですよ。逆転しそうなら、さげればいいじゃないかって。

 

しかし、中央銀行の使命を見ると事がそんなに単純じゃないことがわかります。中央銀行の使命とは物価の安定であり、インフレリスクが大きくなった場合には(長短金利が逆転しようが)物価の安定のために金利を引き上げる必要に晒されます。

参考:トルコのエルドアン大統領の唱える経済学説を解説してみる 

 

インフレの過熱を抑えるために中央銀行が仕方なく利子を引き上げたときに長短金利が逆転し、歴史的には、それが景気後退の先行指標となっていたのです。正確に言えば、インフレリスクについて中央銀行と市場が見解を異にしたときですね。

 

では、今回はどうでしょうか?「インフレリスクを抑えるために中央銀行が(半ば仕方なく)利子を引き上げる」というシナリオは起こるのでしょうか?

 

ブラックロックの見解はNOです。

 

なぜならインフレリスクが高まるというシナリオが起こる可能性が低いからです。その理由も長々と書かれていました。

 

そしてインフレリスクが高まらない限り、FRBは高金利が経済をオーバーキルしてしまうと思えば金利引き下げればいいのであり、長短金利が逆転しないのです。

 

つまり、(これは私の解釈ですが)ブラックロックが主張しているのは、長短金利の逆転自体が起こらないということなのです。

(逆に言えば「長短金利が逆転してないから景気は大丈夫」という見方をしてはいけないということにもなります)

 

むしろ、ブラックロックは長引く低金利に依存した環境によって引き起こされる金融危機を警戒しています。積みあがる債務問題はしばしば指摘されていますね。そして、FRBには残された手札があまりにも少ないと。これはPIMCOも主張していました。

参考:長期経済見通し:急変に備えて | PIMCO

 

But former Fed Chair Janet Yellen argued in her 2016 Jackson Hole speech that the Fed still had plenty of tools to fight the next recession. We believe the current Fed leadership likely shares this view.

 

このあたりのバランス感覚は私も見習いたいところです。

 

また、私たちはFRBよりもっと少ない弾薬で戦わなければいけない中央銀行を思い出さなければなりません。一つはECBであり、もう一つは日銀です。

 

とはいえブラックロックは最後に、どちらかのシナリオ(金融危機シナリオ・インフレシナリオ)に賭けるのではなく両方に対して耐性を持つような戦略を取るべきだと説いています。

 

しかし、ブラックロックが例に挙げている戦略はあくまでアメリカ人に向けて書いているものであり、私的には「素直に円の現金を持て」でいいように思えます。何度も書いていますが、日銀はもはや円高に対して打つ手がありません。そして円は「割安」です。

 

強いて言うなら、PIMCOとバンガードが提供していたクソ長デュレーション債券ETFあたりは持ってもいいかもしれませんがね。クソ長デュレーション君ならば円高以上の利益を出せる可能性があります。

 

私として書きたいのはこれくらいですかね。他の部分はブラックロックの文章にかなり書かれていてわざわざ書く必要性を感じません。

 

ということで、お読みいただきありがとうございました。

 

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