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インフレ連動債とは何なのか?【そのメリットを投資家・政府両方の視点から解説してみる】


どうも、あいうえです。

 

世の中には物価連動債・インフレ連動債というものがありまして、投資信託の中にもそれらの債券に投資するものがあります。

 


インフレ連動債に投資したらどうなるのか、ということは上の記事に書かれているのですが、今日はもう一方踏み込んで「なぜインフレ連動債なるものが発行されているのか?」という視点で考えていこうと思います。

 

その視点でみることにより、投資家目線での「インフレ連動債」に対して新しい知見を得ることを目標とします。

 

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1 投資家目線で見たインフレ連動債のメリット

 

債券の利回り(名目金利)は以下の式によって計算されます。

 

名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率 ……①

 

普通の債券というのは名目金利を参照するので、どうしてもインフレ率の上振れというリスクを負うことになります。

 

例えば利回り3%の債券があったとしても、年4%のインフレが起きてしまうと実質ベースでは損をしていまします。

 

しかしインフレ連動債というのは普通の債券とは違い、名目ベースでのリターンが確定していない一方で実質ベースでのリターンが確定しています。

 

投資の目的が「購買力の維持・増強」であるとするならば、気にすべきは実質ベースのリターンなので、実質ベースのリターンが確定している債券というのは本当の意味での安全資産ということができるでしょう。

 

これが投資家にとっての一つ目のメリットです。

 

また、もう一つのメリットとして、インフレ連動債の存在によって政府にインフレ抑制のインセンティブが働くというものがあります。

 

インフレ連動債は支払いがインフレ率に左右されるので、政府がインフレを抑えられないと政府の負担も重くなってしまいます。

 

なので、インフレ連動債は政府にインフレを抑制させるインセンティブを提供します。

 

インフレは十年、二十年の視点で見れば他の資産(例えば株)に対しては中立ですが、短中期的にはマイナスの影響を与えるというデータがあります。

 

従って、政府側にインフレを抑制するインセンティブができることは投資家にとってのメリットとなるのです。

 

今の時代、それも日本に生きていると実感がわきませんが、政府はインフレの抑制に手をこまねいていることの方が多かったのです。

 

先進国全体が低インフレに悩まされている現状、二つ目のメリットはあってないようなものと言えるかもしれません。

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2 政府側にとってのメリット

 

とはいえ、投資家の都合だけでインフレ連動債などというある意味面倒なものは発行されたりはしません。

 

当然政府側にもメリットがあり、投資の際にはそれも理解しなければいけません。

 

名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率 ……①

 

この式をもう一度書きますが、政府側のメリットとして一つ重要なのは「インフレ連動債によって実質金利がわかるようになる」ことでしょう。

 

一般に、国債のデフォルトリスクはインフレリスクに転嫁される(国債はデフォルトしないから)ので、インフレ連動債の金利というのはリスクプレミアムを含みません。

 

したがってインフレ連動債の金利 = 実質金利だとみることができます。

 

これまでは名目金利しかわからなかったのが実質金利もわかるようになったというのは政府、もしくは中央銀行にとっては助かることです。

 

また、もう一つ大きなメリットとしてあるのは「インフレ連動債によって利払い費が抑えられる」ということです。

 

ん?インフレ連動債でも普通の債券でも期待される利払い費は変わらないんじゃないの?とお思いになるかもしれませんが、実際にはそうではありません。

 

それを説明するためにもう一度①の式を呼び出してみましょう。

 

名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率

 

この式によれば期待される利払い費は変わらないのですが、この式をより正しいものに変えますと以下のようになります。

 

名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率 + インフレ上振れに対するリスクプレミアム

 

このインフレリスクプレミアムというのは面倒・かつ些末なものだという理由でしばしば省略されるのですが、実際には存在しています。というより、理論の世界では存在しないが、市場での取引に際しては存在するものなのかもしれません。

 

この式によれば、普通の債券はインフレリスクプレミアムが存在している分高い利回りが要求される、つまり政府の利払い費が増えることになります。

 

一方、インフレ連動債にはリスクプレミアムが存在しないので、リスクプレミアム分利払い費を減らすことができるのです。

 

これは逆に投資家目線でみれば、インフレ連動債はインフレリスクを取っていない分期待リターンが下がることを意味します。

 

ここまでがインフレ連動債についての解説です。

 

さいごに

 

インフレ連動債はインフレリスクを取っていない分期待リターンが下がる、という結論は意外と対処に困るものです。

 

なぜなら、おそらくリスク調整済みのリターン(シャープレシオ)はインフレ連動債の方が高いからです。

 

「実質ベースのリターンの確定・シャープレシオの増加」と「リターンの増大」のどちらを取るかという問題は難しいです。

 

個人投資家はしばしばリターンの増大に惹かれるものですが、しかし、リスクを減らす目的で入れる債券にそれを求めるのもどこか違うような気がします。

 

皆さんはどのように思われるでしょうか?

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 他記事宣伝

 

終盤でさらっとでてきたリスク調整済みリターン、シャープレシオの使い方について解説した記事です。

 

年金運用機関ならなおさら、実質ベースのリターン確定とリターン最大化のどちらをとるか悩まされそうですね……。個人投資家はそういう意味ではまだ気楽です。

 

 

日本はまだインフレ連動債の発行があまり盛んじゃないので、イデコでの取り扱いはなさそうですね……。購買力の維持という観点で老後に備える資産として最適だと思うのですが。

 

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