どうも、あいうえです。
今日は前々から自分の中でテーマだった新興国と米国株売るならどちら問題に一定の答えを出せたのでその報告をしようと思います。
先に結論を書いておきますと、私の答えは「先に売るべきは新興国である」です。
その結論に至るまでの思考過程を書いていきましょう。
1 そもそもなぜ悩みを持つに至ったのか?
前から公言している通り、私は株式が年初の高値を超えたらある程度株式を売る予定なのですが、その際に米国株と新興国株のどちらを売るかで迷っていました。
ちなみに今現在は米国株:新興国株=50:50で持ってます。
そんな状況で私が考えるべきことは二つあります。
1 順調な相場が続くとして、どちらの方がより上がるか?
2 相場が崩れたとして、どちらの方がより下がるか?
1については比較的簡単に答えがでます。おそらく新興国株です。バリュエーションのよさが圧倒的です。
というか、原油価格が崩れたあたりが逆に異様に新興国のリターンが悪かった時期だっただけで基本的には新興国 > 先進国です。
気になるのは米金利の上昇ですが、ここでは「順調な相場が続く」前提なので、そうならば米金利の上昇が大勢に影響を与えるほどとは思えません。
2 新興国株と米国株、下落耐性が強いのはどちら?
しかし、二つ目の問いについては比較的真面目に考えていく必要があります。
とはいえその答えは基本的に「米国株」です。
少なくとも円建てでの成績でよりましなのは100%米国株です。
米国の方が経済が強いですし、通貨も強いです。
しかし「今回は違うのではないか?」という説がまことしやかにささやかれています。
その理由もやはり先述したバリュエーションの差です。
ある程度解消されたとはいえ米国株は歴史上稀に見る高値圏を推移しています。
一方で新興国株はまだまだバリュエーション的には低いです。
(米国以外の先進国株については一旦放っておきましょう)
ということは、次の下落時により下落幅があるのは米国株ということになります。
しかも、新興国の債務リスクは一時期に比べて一応ですが減っているという話もあります。(要出典)
それはすなわち新興国通貨が一時期に比べて強くなっているのではという話になりますし、米ドルが弱くなっているという話と合わさればさらに補強されます。
ということで、バリュエーション的に下落余地が小さい、新興国通貨は一時期よりも強いという二つをもって新興国強気論が完成します。
……しかし最初に書いたように、それでも先に売るべきは新興国株だと私は考えています。
その理由を説明しましょう。
3 バリュエーションは下落幅に影響するのか?
当たり前のように書かれた「米国株は割高だから下落幅が大きく、新興国株は比較的安いから下落幅が小さい」という部分、これは非常に我々の感覚に一致します。
割安株の方が下落余地が小さい方が自然ですよね。
しかし、もう一歩踏み込んでみましょう。
そもそも、ここで書いた「新興国株は割安」という話はなにを根拠にしているのでしょうか?
答えはPER、もしくはシラーPERです。(PBRもありますが一旦忘れます)
ということは、先ほどの話を言い換えれば、新興国株の方がPERが低いから下落幅が小さくなるということになります。
私はシラーPERにはいくつかの問題点があると考えているので、ここではPERを使います。シラーPERがPERの10年平均 + インフレ調整であることを考えるとさして大差はないでしょう。
しかし、MSCI USA Enhanced Value Index と MSCI USA Indexを比較してみますと、そうでないことが分かります。
MSCI USA Enhanced Value Indexは厳密には低PER戦略ではありませんが、PER・PBRを利用したスマートベータです。
そんなMSCI Valueは常にMSCI USAよりもPERが低い(今だっておおよそ8低い)のですが、リーマンショック時の下落幅はMSCI USA とさしてかわりません。
MSCI World ex USA Enhanced Value Index (先進国バリュー) とMSCI World ex USA Indexでも同じような結果でした。
これら二つの指数は新興国株を含まないのでなんとも言えない部分はあるのですが、いずれにせよ、低PERには下落幅を抑える効果がないことがわかります。
もちろん、本質的価値よりも安いという意味での割安株にはあるのかもしれませんが、少なくとも低PERという意味での割安株が下落耐性を持つということはないようです。
4 結局は通貨の問題になるが……
PERと下落幅に関係を見だせないとなると、結局は米ドルと新興国通貨どちらのほうが強いのか問題に変わります。
米ドルよりも強い「Japanese Yen」という通貨がありましてね……ということは一旦置いておくことにします。
過去記事宣伝
しかし、これも冷静に考えれば「わざわざ新興国通貨というリスクを取るメリットがない」という結論に至ります。
もちろん、これまでよりかは新興国通貨は強いかもしれません。
一方で米ドルはかなりきな臭いです。
……しかし、それでもどちらを信じるかといわれたら間違いなく米ドル一択です。
もし米ドルを信用できないというのならば、買うべきなのは新興国通貨ではありません。
もっと信用できないものを買ってどうするんですか。せめて金を買うべきです。
米ドル(貨幣)が信用を失う時に上がるのは金(コモディティ)です。
え?金はインフレ以上のリターンを生まないから嫌?
いや、ドルが信用を失う時にはインフレが起きるので、少なくとも債券・株よりましです。
円が健在ならば素直に円に戻しておくのも有力です。というかそっちのが普通ですね。
まとめ
ということで、次の下落相場では新興国株の方が下落幅が小さいという説を検証した結果「そんなことなくね?」が私の結論だったので、私は新興国株を先に売ることにします。
もちろん、下落を迎えるまでにより上がるのはおそらく新興国株なので、それを考慮するとさらに話は複雑になってしまいますが、そうなるといつごろ下落するかというマーケットタイミングの話になるので私は避けようと思います。
しかし、少なくとも、今の私がすべきは高いリターンを追求することよりもリスクを減らすことなので、「新興国株の方がリスクが小さい説」が否定された以上私は先に新興国株を売ります。
お読みいただきありがとうございました。
過去記事宣伝