どうも、あいうえです。
今日はちょっとセンシティブな話題、アベノミクスについての記事です。
先に述べておきますが、意見などが寄せられたとしても読みますが返信はしません。
荒れやすいテーマについて書いた記事なので、それだけは了承してください。
一応先に書いておきますが、私はアベノミクスに対しては批判的な類の論者です。
1 アベノミクスは成功したのか、失敗したのか
以後注釈がない限り、しばらくはアベノミクス=日銀の異次元量的緩和です。
他については最後の方に愚痴として書きます。
そもそもの話として、アベノミクスは成功したのでしょうか?失敗したのでしょうか?
まずはこれまでのアベノミクスの「成果」を振り返ってみましょう。
1 これまでのアベノミクスの成果
アベノミクスは日本経済をよくできたのかという話ほど議論が難しい話題もありません。
しかし、本記事のメインはここではないので、ここは軽く述べておくにとどめておきます。
円安。
アベノミクスおかげで円安になったと言われてはいますが、まあ、そもそもの話として景気が悪い国の通貨は安くなるので、アベノミクスが始まったあたりではアベノミクスなんてやらずとも円安になってた説があります。
でも、アベノミクスのおかげでその円安が加速したかもしれません。
次は失業率。
民主党政権終盤には回復が始まっていたという議論や、人口動態のおかげという議論があります。
でも、アベノミクスのおかげで失業率の低下がよりいっそう進んだ可能性があります。
最後に株高。
上二つと同じ。とはいえ、こちらは日銀ETF買い入れという禁じ手を行ってるので、上二つ以上にあれかもしれません。
これらについての私の感想をまとめておくならば、
効果はあったかもしれないが、費用対効果の面では著しく効率が悪かったのではないか?
という風になります。次項で詳しく見ていきましょう。
2 これからのアベノミクスの方が問題
日本のアベノミクスを始めとして、世界中が行った量的緩和政策ですが、基本的には成功したとされています。
寄り道がてら、バーナンキ―のジョークを書いておきましょう。バーナンキ―さんは量的緩和を推し進めた第一人者です。
こいつがいなければアベノミクス自体なかったといえますが、そんなバーナンキ―さんはこう言っています。
「量的緩和の問題点は、それが現実には効果を発揮したが、理論的には効果がないことだ」
しかし、これまでの成功をもって「量的緩和(アベノミクス)は成功した」などと主張するのはあまりにも短絡的です。
なぜなら、量的緩和はまだ終わってないからです。
日銀、ECBはまだ国債買い入れを続けていますし、FRBだって、その拡大したバランスシートの縮小をまだほとんど行えていません。
先ほど書いた費用対効果の話でいえば、私たちはこれまでずーーーーーっと効果を享受してきたけど、まだ一円たりとも費用を払っていないのです。そりゃ「これまで」を総括するならば成功したでしょうよ。
そして、アベノミクスに限らない量的緩和の最大の問題点とは、量的緩和が終わった後の出口戦略(マネタリーベース縮小)に際してどれくらいの費用をこれから払う必要があるのか誰にもわかっていないことです。
まだ一円たりともその費用を払っていないのに、アベノミクスは効果があった!日本経済をよくした!などと叫ぶ人を私が短絡的過ぎるとさきほど批判したのはそのためです。
もし出口に際して数年に及ぶ不景気が待っているのだとしたら、アベノミクスは「成功した」とその時になってもまだ言えるでしょうか?
(アベノミクスの名誉のために述べておきますが、出口戦略に際して必ず不景気がまっているわけではありません。上で述べたように、出口戦略がどのように行われるかなど誰にもわかってないのですから。ただ、中央銀行が一歩でも失敗したら不景気がまっていることは確実でしょう。そして中央銀行は我々が想像するほど頭がよくありません)
その出口戦略に関しては一番遅れている日本だけでなく、一番先を行っているはずのアメリカすら糸口を見いだせていません。
6年かけてマネタリーベースを縮小するとかいうやべー計画建ててますからねアメリカさん。現実味という言葉を知らないようです。
いわんや日本をやという感じで、日本はまーーーったく光明すら見えていません。
どこぞの試算では、買い入れたETFを市場に影響を与えないように売却するには20年前後かかるというのもあります(すみません。ソースは見つけられませんでした)
まあETFはまだマシです。所詮株ですから、必ずしも売る必要はありません。
一方で国債には満期という概念があるので、新規買い入れ停止 = 引き締めになります。
従って出口を迎えない限り永遠に買い続けるという感じになってしまうので、日本の債券市場がお亡くなりに……いや、もう手遅れですか?
余談:アベノミクスが「もし」失敗したとして安倍さんは悪いのか
テーマがセンシティブなので、積極的に余談をいれて緩和していきましょう。
そもそもアベノミクスが失敗したとして、安倍さんはアベノミクスの立案者ではありません。あくまで、えらーい経済学者さんが考えた経済対策を採用したのが安倍さんというだけです。
そういう意味では、安倍さんアベノミクス理解してないんじゃ説があるわけです(そしてそれは全く問題ではありません)
しかし、それでもアベノミクスが失敗したして批判されるのは経済学者ではなく安倍さんなのです。これはそういうもんです。
先日麻生さんがこんなことを言いました。
「決裁文書なんて全部は読んでねーわ。読めるわけねーじゃん」
ちょっと話題になりましたね。
でも、生で聞いていた私は彼がその後そう続けたのを聞いています。
「でも、ハンコを押したからには責任をとる覚悟はできている」
カッコいいですね。
これと同じで、アベノミクスなんてよくわかってなくても、内閣総理大臣としてそれを実行したのならば彼に責任があるのです。逆にいえば、うまくいった際の名声も彼のものになります。
そういう意味では、アメリカでのトリクルダウンのあれこれでもそうですが、人に責任を背負わせながら国を使って壮大な社会実験ができる経済学者が一番せこいなーという感じがしますね。
2 日本はアベノミクスから生還できるのか?
そしてこれはあくまで私の予想ですが、まず間違いなく日本、というか世界は量的緩和から生還できないと思います。
いや、もちろんしてほしいですけども。してほしいはしてほしいです。……でも、無理だろうなぁという。
根拠を示せと言われたら困りますが、アメリカすら現実味の欠片もない出口戦略を提示しているなかで楽観的になれと言われた方がもっと困ります。
だからこそ私はアベノミクスを「費用対効果が著しく悪い」と表現したのです。
大山鳴動して鼠一匹とまではいいませんが、アベノミクスの成果はなんだかんだ大したことがありません。せいぜい円安になり株が上がったくらいです。
その円安と株高すら、アベノミクスのおかげといえるのは多めに見積もってあげて半分でしょう。残りの半分は純粋な景気循環によるものだと思います。
それに、株価は何倍だかになったかもしれませんが、私たちの生活は株価と同じだけの割合よくなりましたか?
特に、投資家には株価を根拠としてアベノミクスを支持する方が多いように思います。
株価を見ればアベノミクスの成果がわかるとかなんとか。
ということはもちろん、株価が下がったらアベノミクスを批判するんでしょうね?
株価をみればアベノミクスの成果がわかるんですから。
ところで、今年の東証は日銀がいなかったらどうなってたのでしょうかねぇ。
日銀があれだけETFを購入して「やっと」2万越えじゃあ……。
あれだけ騒がれた外国人投資家は年間で売り越し、個人投資家も年間で売り越し。買い越しは日銀、年金系です。……はは。
これも費用対効果で見たらボロボロだと思います。
量的緩和とはまず間違いなく麻薬の類であり、その禁断症状から逃れるのは非常に、非常に難しいのです。
強いて言うなら、逆転の発想として麻薬の定期摂取という秘術がありますが、あの、あれです、麻薬を使い続けた人の末路的なグロ画像を想起してもらえてば……。
しかももっと悪いことに、日本、アメリカ、ヨーロッパの中で一番症状が重いのが日本です。
マネタリーベースのGDP比でもそうですし、人口動態的な意味でもそうです。
言うなれば、日本は重度の量的緩和中毒者で、アメリカは軽度の量的緩和中毒者なのです。
これもまた問題でして、アメリカさんは上で言った秘術を使う余地があるのですが、日本にはその余地すらないということになります。
この状態で次のリセッションが起き、アメリカ量的緩和再開なんてなったらドル円が、ドル円が、ドル円が、ドル円が、ドル円が、ドル円が、ドル円が、ドル円が。
昔の自分の記事から引用しましょう。
Japanとかいう国は次の不景気どうするんでしょうね。
アメリカと違って、今もなお量的緩和をフルスロットルで回してる国は次の不景気でどのような景気刺激策をとるのでしょう?
これがやっぱり問題でして、マイナス金利・ETF買い入れなんてことを「既に」しているわけです。(マイナス金利自体は日本以外も何か国かやってますが)
量的緩和・マイナス金利・ETF買い入れをすでに行っている日本と、そのすべてを手札として残しているアメリカ。
いくら日本が量的緩和をし続けていても、アメリカがくしゃみしたらインフルエンザにかかってしまうのが日本ですからねぇ……。
心配です。
このままじゃあ、次の不景気に対して日本政府は指をくわえて祈ることしかできなくなります。
その際に「株が上がってるからアベノミクスは成功」だなんて言ってた人はどう思うのでしょうねぇ。バズーカを打ったはいいものの再装填が一切できていない現状をよくもまあお気楽に肯定できるものです。
麻薬に手を出すくらいだったら、民主党のように為替介入を気持ちがてら行うにとどめて市場の調整機能に望みをかけた方がよかったのではないかというのが私の意見です。
記事の冒頭でも書きましたが、市場には調整機能があるので民主党がずーーっとほっといてもいつかは円安に振れていったはずです。……まあ、それまで日本経済が耐えていれば、の話ですが……。
いやまあ、こうなった以上は過去を嘆くのではなく一刻も早く量的緩和から無事抜け出すのを祈るほうが先でしょうが。
余談その2:すでに国民生活にアベノミクスの悪影響はでている
実はね。少しでてるんですよぉ。分かりやすい形で。
今年度から銀行での両替(日本円 to 日本円)の手数料がめちゃくそ高くなりました。これまで500枚/日無料だったのが、10枚/日に。
コミケ前の500円玉両替ができないのでつらいです。
量的緩和は銀行さんの収益が落ちるので、その分が利用者に転嫁されるんだなぁ……。これは確実にアベノミクスのせいです。
とはいえ、この程度で済むなら安いもんです(笑)
私も流石にこの程度であーだこーだ言うつもりはありません。せいぜいこうして余談に使うくらいです。
とはいえ、アベノミクスの影響で銀行が苦しいことは覚えておくべきでしょう。早くしないとも我々にその分がしわ寄せされてしまいます。
3 愚痴
とはいえ、量的緩和には確実に一ついいことがあります。
それは、少なくとも量的緩和をしている間は経済は好調だということです。
いつかは量的緩和を止めて出口を模索しなければならないのですが、少なくとも量的緩和をしている間は安泰です。基本的には。
ということは、量的緩和という麻薬が効いているそのうちに日本経済にちゃんとした薬を投与すればいいのです。日本経済が本当の意味で復活しさえすれば、麻薬から抜け出すのも簡単です。
そう、それがいわゆるアベノミクス第三の矢です。
第三の矢で少子高齢化をどうにかできたら希望はあったとは思うのですが、これについてはまず間違いなく失敗でしょう。
法人税減税と消費増税とか「はぁ……これだから」という感じです。真逆でしょう真逆。
これについては、まあ、安倍さんというか自民党に期待するだけ無駄だった感はあります。
だって、少子高齢化とかそろそろ騒がれて何周年ですか?そろそろ成人してもおかしくないですよね少子高齢化。
で、その間ずっと与党だった党はどこですか?
安倍さんは違う、という説はありましたが5年だか6年だかやってこれじゃあ、安倍さんもこれまで通りだったという話です。
え?野党が悪い?
いやーいくらなんでもこれまで野党のせいにするのは無理筋でしょう。法案成立云々以前に、法案として示されてすらいないわけですからねぇ。
いやまあ、いくつかはあったのでしょうが、そんなに大きなものはないという意味です。
余談
私は一応立憲民主推しですが、経済政策及び少子高齢化対策に関しては正直まったくもって期待していません。枝野さんが表現規制反対派だから応援しているだけです。表現規制反対に関しては確固たる実績がありますからね。
そういう意味では自民党というより、政治自体に期待するだけ無駄という表現の方が私の心境をよく表しているかもしれませんん。
最後の余談:安倍首相の賃上げ要請について
私がこの記事に書いた内容は、そんなに目新しいものではありません。
だからこそ企業は賃上げをあまり行いたくないのです。次の不景気(円高)に対して政府が対処策を持ってないのに能天気にベアなんてできるもんですか。
安倍首相の賃上げ要請を有難がる人もいるらしいですが、私には「アベノミクスじゃ効果が少なかった」という敗北宣言にしかみえません。
本当にアベノミクスが素晴らしいのならば、要請なんてせずとも賃金は上がってますよ。いやまあ、最低賃金は上がりましたけどね。それは(誰のおかげなのかは私にはわかりませんが)いいことだと思います。
さいごに
ということでアベノミクスに対するあれこれでした。
アベノミクスがこのまま単なる金融政策に終わってしまうのならば、その先にはまあ暗い未来が待っているでしょう。せっかく麻薬を投与したのに、肝心の薬が投与されないようじゃ。
安倍さんが、金融政策だけで日本経済をよくできるだなんておとぎ話を信じなかったところまでは良かったのですがねぇ。
……まあ、正直私は政治にはそんなに興味はありません。アベノミクスに対しても投資家としてどう振舞うかということばかり考えています。
例えば出口戦略は失敗すると読んでいるわけですから、それに則ったポジションを持てばいいわけです。それ以上でもそれ以下でもありません。
そういう意味では、投資を始めたのはよかったかもしれません。
政治にイライラする必要がありませんからね。
政治が間違ってる!(経済政策的な意味で)と思ったのなら、それに則ったポジションを取って利益を出せばいいだけです。そう簡単には出せないんだよなぁ
もっとも、経済政策に対しては順張りが基本なのでそれを忘れてはいけませんが……。
最後だけ急に投資ブログらしくなりました。
お読みいただきありがとうございました。
次のリセッションでアメリカが量的緩和を再開したらどうすればいいのかについて、リーマンショックのときを振り返ってみようという記事です。
Kindleいいっすよ。