どうも、あいうえです。
今日は空売りについてのお話です。
「とあるオタクの長期投資」というのが当ブログの名前ですが、長期投資と空売りという二つのワードは致命的なまでに相性が悪いです。
なぜなら、投資、特に株式投資と債券投資は理論上は必ず儲かるものであり、つまり、空売りは理論上必ず損をするものだからです。
株式も債券もそれぞれ配当と利子が存在するので、資本主義もしくは世界が終焉しない限りいつかは利益がでます。
債券はインフレがあるので生債券だと話が違いますが、債券ETFならば理論上は必ず儲かります。
まあ、世紀の不況がきてしまったら生きているうちに利益がでるとは限らなくなってしまいますが……。
しかし、私自身は空売り、もしくはインバース系のETFに普通に手を出していくと思います。
この記事では長期投資を名乗っている私がなぜ空売りに手を出していくのか、そしてどのような時に手を出すのかについてお話していきたいと思います。
1 私の空売りに対するスタンス
私は基本的には空売り、それも個別株の空売りには反対の立場を取ります。
コストもかかりますし、レバレッジをかける関係上ついつい損失が大きくなってしまう可能性が高いです。空売りは買いとは違い、セル&ホールドができないのも欠点です。
それに、こまめに市場をチェックする必要がでてきてしまい、長期投資家の数少ないメリットである「市場をあまりみなくてもいい」までなくなってしまいます。
……とか書いてますが、空売りしたい気持ちは分かります。
実際、ショートの方がやりやすいという人はいると思いますし。
私も長期投資はつまらないということで気分転換にFXのスキャルピングを楽しむ時があるのですが、ショートの方が勝率・勝利時の平均利益・敗北時の平均損失のすべてにおいて成績がいいです。
とはいえ、空売りやインバース系のETFは一定の条件を満たした場合には手を出していくと思います。
どのような条件か、というのは次項で。
2 空売りの条件
長期投資家を自称する私が、空売りのデメリットを承知してまで空売りに手を出す条件がこれです。
ショートポジションに対応するロングポジションが存在すること
逆に言えばこれだけです。今私はショートポジションを全く持っていませんが、この条件を満たしている限りいつでも空売りします。
要はロングショート戦略の一貫としてなら空売りしますよということなのですが、具体的にはどうするのかを次項で見ていきましょう。
空売りパターンその1:株のロングと株のショート
これが一番分かりやすいですね。株のロングポジションとショートポジションを同時にもつというものです。
株のロングショート戦略です。
とはいえ、ロングショート戦略にもいくつかのパターンがあります。
一つは割高株をショートし、割安株をロングするというもの。
割高株と割安株の評価の差が埋まれば、理論上市場の動きに関係なく利益を出せます。
平均回帰を利用していると言ってもいいでしょう。
利益は小さいですが安定している傾向があります。
次は、上昇している株をロングし、下落している株をショートするというもの。
え、一つ目と真逆じゃん!? となりますが、これはこれで使えます。なぜなら市場にはモメンタム効果があるからです。
モメンタム効果:
上昇している株は今後も上昇しやすく、下落している株は今後も下落するという現象。
平均回帰と矛盾しているが、実際に存在するのだから困る。
筆者は、短期的(おおよそ1年)にはモメンタム効果が優勢であり、長期的には平均回帰するという立場をとっている。
セクター間のロングショートもいいでしょう。
例えば金利が上昇しているときの金融セクターのロングと公益セクターのショートです。
これも、金融セクターが公益セクターをアウトパフォームしさえすれば市場全体の動きに関係なく利益がでます。
他には国間のロングショートもあります。
米国株のロングと日本株のショートが一般的ですかね。
上がる時は小さく、下がる時は大きいという東証カジノの性質を利用したものです。
とはいえ、為替込みだと実はあまり意味がないという説もあります。
一部の戦略はロングショートよりも「さやどり」という名称の方が良く使われる印象がありますので、詳しく知りたい場合はこちらのワードでググってみた方がいいかもしれません。
空売りパターンその2:異なるアセット間のロングショート
先ほどは株式のロングショート戦略でしたが、そうでなくともロングショート戦略はとれます。
とはいえ、異なるアセット間でのロングショートは株式二つでやるロングショートよりも気を使う必要があります。
これもいくつか例があるので考えてみましょう。
まず、いわゆるところ為替ヘッジがあります。
米ドルで投資している私は投資対象に関係なくドル円のリスクを負っているので、円高が予想されるときにドル円のショートをすることができます。
為替ヘッジは、「どんな時でもいらんいらん!」と思うのではなく、ある程度柔軟に対応しておくべきでしょう。
他には以下のようなものも考えられます。
株式のロングとジャンク債のショート。
金利上昇と株式市場の好調に賭けるならばなかなかにいいポジションです。
金利上昇はジャンク債下落圧力になりますし、FRBによる市場のオーバーキルで株式市場が崩れてもその時はジャンク債も崩れているので損失額を抑えられます。
株式市場とジャンク債には正の相関関係があるので一見矛盾したポジションに見えますが、実はそうではないという例ですね。
とはいえ、異なるアセットクラス間のロングショートは為替ヘッジを除けば難しいので、素人があまり手を出す分野ではないと思います。
空売りの神髄
カッコつけたタイトルにしていますが、私が許容するパターンの空売りには一つの特徴があります。
それは空売りによってリスクを減らしていること。
それっぽい言い方をすれば、ベータを0に近づけているということになります。
ロングポジションとショートポジションを同時に持つことによって、市場の値動きによる影響を減らすことができるのです。
もっとも、その分リターンは減りますし、ベータが0にはならない以上リスクも存在しますが、低リスク低リターン自体は悪いことではありません。
特に相場の見通しが不透明な場合には使い道がいくらでもあります。
もちろん、ポジションの解消という形で不透明さに対抗してもいいのですが、ロングショート戦略とポジションの解消は似て異なるものです。
賭けているストーリーが異なるからです。
株式100%から株式50%現金50%への移行は結局は「株式相場の上昇」に賭けていますが、米国株ロング50%日本株ショート50%への移行は「米国株の日本株アウトパフォーム」に賭けていることになります。
相場が上がるか下がるかは分からないけど、米国株は日本株をアウトパフォームするだろなぁというときは後者を使った方が効率よくリスクを減らせます。
この二つは似ているようで全く異なるものです。従って、それぞれ使い道が異なるのです。
結局、空売りは使い方次第です。
少なくとも、よく言われる「下落時でも積極的に利益を出せる」というパターンでの空売りはするべきではありません。
それなら素直に上昇するものを探せばいいのですから。
一方、市場の不透明さの向上に伴う低リスク低リターン戦略への移行、という目的では空売りは非常に使えます。
というか、長期投資家であってもこれくらいはしておくべきだというのが私のスタンスです。
皆様ももう一度空売りについて考え直してみてはいかがでしょうか?
お読みいただきありがとうございました。
また、一番のリスク管理はバランスのとれたポートフォリオを組むことである、というのが本ブログの一つの主張です。迷っているならばこちらも見てみてください。