どうも、あいうえです。
今日はブラックロック社が新しく作ったETFが面白そうなので紹介してみます。
2018年3月現在日本の証券会社の取り扱いはないのですが、雰囲気を見る限り将来日本でも買えるようになってもおかしくなさそうです。
はじめに
ブラックロック社より引用
今回新たにできたのは上の画像にあるETFです。
iShares Evolved U.S セクター名 ETFということで、次世代セクターETFといった感じになるのでしょうか?
ではどこが次世代なのかを見ていきましょう。
1 新しいセクター分類
上では7つしかセクターがありませんが、このEvolvedシリーズでは企業を12セクターに分けています。スラッシュ以降は私が勝手につけた意訳です。
Consumer Staples / 生活必需品
Discretionary Spending / 一般消費財
Media and Entertainment / メディア・娯楽
Energy / エネルギー
Financials / 金融
Healthcare Staples / へるすけあすてーぷるず
Innovative Healthcare / いのべーてぃぶへるすけあ
Industrials / 工業
Real Estate / リート
Technology / 技術
Telecommunications / 通信
Utilities / 公益
の12です。
おそらく、まだ開始されてない残り5つも遠くない内に運用が始まると思います。
普段使っているセクター構成との違いは以下の通りです。
一般消費財が
Discretionary Spending
Media and Entertainment
にわかれた。
私は上のに対してはそのまま一般消費財という訳を当ててます。
ヘルスケアが
Healthcare Staples
Innovative Healthchare
にわかれた。
私には二つの違いを決定づけている要素が分かりません。すみません。
素材セクターが消えた。
なんか消えました。
2 AIを活用した企業の分類
セクターを決めた後はもちろん企業を分類するのですが、ここからがEvolvedシリーズのEvolved要素です。
今までのセクターの分類だと、一つの企業は一つのセクターにしか所属していませんでした。
しかし、Evolvedシリーズでは企業が複数のセクターにまたがることが許されています。
例えばみんな大好きAmazonは一般消費財と技術の二つに採用されています。
他にもVisaは技術だけでなく金融にも採用されています。
GEの姿も金融に確認出来たり。
そちらの方が現実をより反映しているというのがブラックロックの主張です。
確かに、一つの企業が一つの事業しかやらない時代ではないですからね。
説得力はあります。
では、具体的にどのように分けているのかというとそこでAIが出てきます。
AIを使って、企業がどのセクターに何%所属しているかを分析しています。
分かりづらいので例を出しますと、Amazonは36%が一般消費財、64%が技術セクターということになっています。
他にもマクドナルドは66%が一般消費財、34%が生活必需品ということになっています。
補足:生活必需品と一般消費財の違いは景気によって消費量が変化するか否かです。
この細かいパーセントの違いが何のためにあるのかは次項で説明します。
3 採用銘柄の組み入れ割合の決め方
前項で説明したように、どの企業がどのセクターに属するかはAIが決めています。
そして各セクター内での割合の決め方ですが、普通に時価総額加重平均によって決めています。
時価総額加重平均と書いてしまいますと普通のように感じますが、そこはEvolvedシリーズ。
単なる時価総額加重平均ではありません。
先ほどAmazonは一般消費財に36%、技術に64%属していると書きました。
すると、一般消費財セクターETF内で組み入れ割合を決める際に使われるAmazonの時価総額は「Amazonの時価総額 × 36%」になります。
一方、技術セクターETF内でのAmazonの時価総額は「Amazonの時価総額 × 64%」です。
その結果一般消費財セクターは以下のようになっています。
ブラックロック社の資料より引用
アメリカ最大の一般消費財企業はどうやらホームデポのようですね。
ブラックロックの言い分としては、「そうした方がより正確にそのセクターの動向を表せる」ということになります。
4 低い経費率
私が一番驚いたのはここですね。なんと経費率が0.18%固定です。
あの、セクターETFの経費率争いにおいては一切のやる気を見せず、迷走した挙句マルチファクターセクターシリーズという不人気を極めたシリーズを作り出してしまったブラックロック社とは思えない経費率の安さです。
記事の最初に私が「雰囲気を見る限りは将来日本でも買えるようになってもおかしくなさそう」と書いたのもこの安い経費率を見てのことです。
運用額が順調に増え続ければバンガード社と同じ0.1%になる日も遠くないかもしれません。
最後に
ブラックロックの熱意は(経費率を見る限りは)感じます。
それに、一つの企業が一つのセクターにしか所属できないシステムは時代遅れだという主張も納得できます。
実際、これまで通りのセクター分類だと一般消費財セクターがAmazonセクターになってしまうのでそれを解決できるという意味ではいいと思います。
(2018年に予定されている改定でAmazonは一般消費財セクターになると言われています)
特にセクターローテーション戦略を好んでいる方にはいいですね。
もしかしたら、こういう感じのセクター分類が将来はメジャーになっていくのかもしれませんね?
ということで、お読みいただきありがとうございました。