どうも、あいうえです。
この記事では投資をしているとよく出てくる「織り込み済み」という言葉をわかりやすく解説していきたいと思います。
1 織り込み済みのことに対して市場は反応しない
ある日A社の決算が発表され、それが非常によいものだったと仮定します。
ではA社の株価はどうなるでしょうか?
単純に考えれば上がりそうですよね。
しかし、実際の株式市場ではそのようなことはあまり起こりません。株価が変動しないどころか、下がることもよくあります。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
正解は、「織り込み済みだから」です。
A社の決算はきっといいだろう、という予測が市場においてなされていたのでいくらA社の決算がよくても予測以上の業績でなければA社の株価は上がらないのです。
A社の決算がよいだろうという予測を信じた人たちが既に買っていて、既に株価が上がりきっているからですね。
予測通りの業績であったとしても、今度は材料出尽くしということで下がるという理不尽さがあります。
今の話においては「予測以上の業績でなければ」という部分が非常に重要でして、世の中の全ての情報――決算発表、統計、金融会合の結果――などにはすべて市場の予測というものがあります。
そして市場はそれらの情報が実際に発表される前に、予測を元に結果を「織り込む」性質があります。
明日発表されるGDP統計がいい値であると予測されているならば、いい値であるという前提で市場は動くのです。
技術が進歩した現在は統計結果の予測をすることなどそんなに難しいことではないので、ほぼすべての決算・統計の発表は結果が予測されています。
で、実際の結果が予測通りだったら「織り込み済み」として市場は動かないわけです。
逆に、予測が大きく外れるようなことがありますと「サプライズ」と称して市場は大きく動きます。
ここにおいても、予測から大きく外れることがサプライズなのであって、発表された内容とはなんの関係もないことを述べておきます。
例えば、明日急に内閣総辞職が発表されたとしてもそれが市場の予測通りだった場合は市場は「内閣総辞職を織り込んでいる」のであまり動かないはずです。
例えあなたにとってはサプライズだったとしてもそれが市場の予測通りだった場合、市場は反応を示しません。
2 実際の例
ということで、その例をアメリカの債券利回りで見てみましょう。
アメリカの債券利回りはFFレートに大きく影響されています。
基本的にはFFレートが上がると上がり、下がると下がる性質があります。
2018年3月、FFレート上昇の結果がFRBから発表されました。
しかし、短期金利・長期金利ともに上昇しませんでした。
ここまで読んだ方なら理由が分かりますよね。
FFレートの上昇を「織り込んで」既に金利は上昇していたからです。
正確には、おおよそ90%の確率でFFレートが上がるという予想が金利市場には織り込まれていました。
なので、長期金利は上がりませんでした。
というより、その日長期金利は下がりました。
なぜなら、「貿易戦争のリスクが高まる」というサプライズが起きたからです。
それを織り込んでいなかった市場の資金は安全資産である米国債に流れ込み、結果として金利を押し下げました。
織り込み済みの結果には反応せず、サプライズには反応するという市場の動きが非常に分かりやすく表れた日だといえます。
これは悪い方のサプライズが起きた時の例ですが、当然いい方のサプライズが起きることもあります。
まとめ
この「織り込み済み」によって被害を被った経験のある方は多いと思います。
しかし対策方法は簡単で、単純に結果を予想するのではなく、市場の予測との差を予想する癖をつければいいだけです。
PERも実績PERではなく予想PERを使うとか。
もしくは、短期ではなく長期的な視点に立って予想するという方法もあります。
市場は最高でも数年程度しか織り込まないので、「数十年後にも残っている企業」みたいな基準で投資する企業を選び、それに長期投資をすれば市場と戦わずにすみます。
正直、我々個人投資家におすすめの方法は後者ですが、前者でやる場合も翌日ではなく半年後の結果を予測するくらいならやってもいいように思います。
いずれにせよ、市場予測を確認する癖をつけたいですね。
ということでお読みいただきありがとうございました。
過去記事宣伝
逆張りは織り込みを含めた市場心理との闘いみたいなところがあるので、いろんな点で注意が必要です。私なりにそのコツを書いてみました。