どうも。あいうえです。
私の感性がどれくらい一般的なのかはさておき、日本人から見た時にEU・欧州連合という組織は結構好感度が高いのではないかと思います。
理念は素晴らしいし、国境の撤廃を始めとしたその政策は如何にも先進的といった感じがします。
なんかいい感じの組織だなーとぼんやり思ってる方も多いのではないでしょうか。
しかし一方でEU離脱を国民投票で決めたイギリスを始め、近年EUは何やら不穏な空気が見えます。
最近だとフランスやイタリアのEU離脱も噂されますし。
(どちらもしばらくは回避されたという見方が一般的ですが)
「なぜみんなEU離脱したがるんだろう?」という疑問を持つ方も多いと思います。
EUが素晴らしいのならば離脱したいだなんて誰も思わないはずですよね?
「EUは素晴らしい」と「みんなEUを離脱したがる」は明らかに矛盾してます。
しかし、みんなEUを離脱したがるというのが事実である以上、この矛盾を解決する方法は一つしかありません。
そう
EUはそんなに素晴らしい組織ではない
ということしか考えられません。
ということで、この記事ではEUの共通通貨「ユーロ」の抱える問題について考えていくことで、いろんな国がEUを離脱したがる理由について考察していきたいと思います。
1 経済と為替
日本は円安になると景気がよくなり、円高になると景気が悪くなると言われます。
なぜなら円安になると輸出が好調になるからです。しかもその輸出で稼いだお金によって国の財政も改善されます。
なのでアベノミクスは金融緩和によって円安に誘導することで日本経済を押し上げることができたのです。
そしてこの「金融緩和して自国通貨を安くする」という政策は不景気においては一般によくとられる政策であることを理解する必要があります。
日本だけでなく、アメリカも、ロシアもそうです。
みんな自国の景気が悪くなると自国通貨を安くすることで自国経済を立て直します。
これさえ分かればユーロの問題を理解できます。
2 ギリシャはどうやって景気をよくすればいいの?
ところで、今ギリシャ経済はヤバいです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
先ほど書いたように、自国通貨を安くすればいいのです。
ギリシャの通貨はユーロです。
じゃあ、ユーロ安にすれば解決です。やったね!
いえ、なりません。というかできません。
なぜなら、ユーロ安にするかユーロ高にするかはギリシャだけで決めていいものではないからです。
ユーロはみんなのものですから。
ユーロが高くなるか安くなるかはユーロを採用している国全体の景気次第です。
ユーロ - Wikipedia より引用
上の地図で青・紫になってる国がユーロを導入している国ですが、これらの国を合わせた「ユーロ圏」の経済状態がよければ、いくらギリシャ経済が不景気でもユーロ安にはなりません。
日本で言うならば、いくら北海道が景気悪くても、日本全体の景気が良ければ北海道の都合だけで円安誘導はしないよね?という感じです。
当然ですよね?
そして、これがユーロの抱える最大の問題点です。
ユーロ高に一部の国が苦しんでいても、それを解消できないのです。
3 ほとんどの国はユーロ高に苦しんでいる
そして、ほとんどの国はユーロ高に苦しんでいます。
国によって経済格差が存在するので、ある国にとってはユーロは安い通貨ですが、ある国にとってはユーロは高い通貨です。
同じ1ドル0.8ユーロだとしても、ある国にとってはユーロ安で、ある国によってはユーロ高だということになります。
同じ為替レートでも、国によって感じ方が違うというのがポイントです。経済状況が違うので当然です。
ギリシャだけでなく、ユーロ高に苦しんでいるけどユーロ安には誘導できないから困ってるという国は多いのです。
4 ユーロで得している国は?
しかし、苦しむ国有れば楽する国有り、ユーロ高で苦しむ国があるならばユーロ安でウハウハな国があります。
そう、ドイツです。というかドイツだけです。
ドイツ以外はほぼ全員―フランスやイタリアも含め―ユーロ高に苦しみ、ドイツだけはユーロ安でウハウハです。
なのでウハウハなドイツはついに財政黒字まで成し遂げました。
一方で、ドイツ以外は財政赤字に苦しんでいます。その裏にあるのがユーロ高とユーロ安の関係なのです。
それが「EUはドイツの一人勝ち」と言われる所以でして、言い方は悪いですが、ドイツはユーロを使って他の国を搾取しているのです。
5 どうすればいいのか?
とはいえ、解決自体は難しくありません。本来は。
また日本を例に出してみましょう。
日本だって地域ごとに経済状況が微妙ですが異なるので、同じ為替レートでも地域によって受け取り方が違います。一応。
関東にとっては円安でも、関西にとっては円高という状況が発生しうるわけです。
(念のため書いておきますが、あくまで例です)
しかし、だからって関西が円高で苦しむということはありません。
なぜなら、日本には中央政府があるので、円安で関東が儲けた分を関西に分け与えることができるからです。
中央政府が一応とはいえ富を配分してくれるので、一部の地域だけが円安で得して、他の地域は円高で苦しむということはありません。地域格差がないというわけではありませんが、それでもユーロ圏の国々に比べたらずっと小さいです。
なので解決もクソも、そもそも問題ですらありません。
……しかし、別々の国が一つの通貨を使ってるユーロはそうはいきません。
別々の国ですから。ドイツが他の国を助ける義理はありません。
日本だって、日本政府は都道府県を助けますが、ある都道府県が他の都道府県を助けたりはしませんよね?
夕張市の財政を東京都が支援、なんてしません。
実際ドイツは助けていません。
……ただ、本来はドイツが助けるべきです。
ドイツは共通通貨ユーロという仕組みによって他の国から搾取しているわけですから、その分をちゃんと返してあげるべきです。
ユーロ圏には日本の例でいう中央政府がいないのでそれを強制することはできませんが、本来は同じユーロ圏として助けるべきです。
しかしドイツはこう主張しています。
他の国は怠けてるだけ
ね?EU離脱したくなったでしょう?
共通通貨の導入によって勝ち組と負け組が出てきてしまうのですが、肝心の勝ち組が負け組を助けたりしないのが問題なのです。
挙句の果てに、EUは怠けものに有利(怠けてもEUが助けてくれるから)なんて言う人もいる始末です。いやいや、EU(というかユーロ)に入ったせいで困ってるんだって。
まとめ
ということで、ユーロを使って他国から搾取した挙句、他国を「怠けてる」とか批判するドイツが嫌になった国はEUから抜けたいと思うのです。
イギリスがユーロを導入しなかったのはこの構造を見抜いていたからという話もあります。
まあ、もちろんEU離脱問題がユーロだけによって引き起こされているわけではありませんが、国の根本ともいえる経済を損なってしまうユーロ問題にいろんな国が困っているのは事実です。
……EUって思ってたより汚い組織だったんだなって。
まあ、何度も書きましたが、結局はドイツの独りよがりな態度が問題なのです。
お読みいただきありがとうございました。