どうも、あいうえです。
最近ロボアドバイザーというものが流行り始めていますね。ウェルスナビとか、テオ(THEO)とか。
私個人の意見としては、すばらしいものだと思います。
長期ほったらかし投資をするのに最適なツールですし、手数料も提供されているサービスに比べればとても安いです。
なにより、手数料が預かり資産によって決まるので、顧客の資産の最大化=提供会社の利益の最大化となっているのが安心できます。(これは地味に大事です)
おそらくは投資初心者向けのサービスですが、上級者の使用にも十分耐えらえる優れものですね。
……しかし、一つどうしても気になるところがあるのでこの記事を書くことにしました。それはロボアドバイザーにおけるリスクの話です。
これからロボアドバイザーによる投資を始めたいという方にはぜひ読んで欲しい内容です。
注:この記事ではウェルスナビを例にいろいろ書いていますが、内容自体はロボアドバイザー全体に当てはまることです。
1 ロボアドバイザーのポートフォリオは年齢で決まる
ロボアドバイザーのウリとして、いくつかの質問に回答するだけで向こうが最適なポートフォリオを決め、運用をしてくれるところがあります。
質問に答えるとリスク許容度が決まり、リスク許容度に従って最適なポートフォリオを向こうが決めてくれます。
リスク許容度:
投資における損失(一時的な含み損も含む)をどれくらい許容できるか
あなたはリスク許容度が大きいから高リスク高リターンなポートフォリオね!みたいな感じです。
ところで、その質問には必ず「年齢は?」というのが含まれています。
そして他の質問にも影響されますが、基本的には年齢が若ければ若いほどリスク許容度が大きいと診断されます。
その結果、若い人はリスク許容度が大きいとして高リスクな株式中心のポートフォリオになり、年齢が上がるに従ってリスク許容度が小さいとして低リスクな安全資産中心のポートフォリオになる傾向があります。
例えばウェルスナビ。
最初に20代を選ぶと頑張ってもリスク許容度を一番低い1にできませんでした。(5が一番高く1が一番低い)
普通にやると4か5になると思います。
一方、最初に60代を選ぶとどう頑張っても一番高い5にはできませんでした。
金融資産が3億あり年収2000万のアグレッシブなじいちゃんでも4でした。
注:あくまで私がいろいろ頑張った結果です。
……ん? なんかおかしくありません?
リスク許容度って、どのくらいの損失まで許容できるかという概念でしたよね。
分かりやすく言えば、どれくらいまで損失を我慢できるかということです。
若い人の方がリスク許容度が大きいってなぜなんでしょう?
どのくらい我慢できるかと年齢にはなんの関係もないように思えますが……。
2 なぜ年齢が低いとリスク許容度が大きいとされるのか
その答えは「長期投資」にあります。(ロボアドバイザーは長期投資用のツールです)
まず、そもそもの話として、投資期間が長ければ長いほど利益が出る可能性が高くなるというのがあります。
5年運用する人よりも40年運用する人の方が利益が出る可能性が高いです。そして得られる利益も大きいです。
これは歴史的な事実です。
そして、それこそが「若い=リスク許容度が大きい」とされる原因です。
つまり、若い人は一時的に大きな含み損を抱えても利益が出るまで待てる「時間」があるから問題ないということです。
ここにおける時間とは有り体に言ってしまえば寿命のことです。
「若い人は寿命が残ってるから利益がでるまで待つことができる」→「なら一時的に大きな損をする可能性が高くても、長期的には利益が一番大きい方がいいよね」
ということをロボアドバイザーは考えているわけです。
これ自体は間違った考えではありません。よく、若ければ何度でもチャレンジできるとかいいますからね。投資においても同じという話です。
3 リスク許容度に潜む罠
しかし、ここには大きな罠があります。
大きな含み損を抱えたときにそもそも投資続けられるの?という罠です。
長期投資は「長期間」投資をし続けることによってのみその恩恵を得ることができます。
いくら長期的にはリターンが出るといっても、中途半端なタイミングで売ってしまっては元も子もありません。
例えばリスク許容度5ではじめると、リーマンショック時にはおおよそ50%以上の含み損を抱えることになります。(実は、ロボアドバイザーは国際分散投資をしているので株価とか関係なく円高でも普通に損します)
「100万円から始めて毎月3万コツコツ積み立て♪」
3年後
「お、300万越えてる~!」
そこでリーマンショック
「あれ?110万しかない……」
こんな感じですね。
もちろん、そこで売らずにずっと持てば数十年後にはきっと大きな利益が出ているでしょう。
リスク許容度1の人に比べるとずっとずっと大きな利益が出ているはずです。
……しかし、数十年も投資続けられますかね?
歴史的に、株の暴落は10年-15年周期で起きています。
20代に投資を始めたとして、定年まで運用するとしたら4回くらいは暴落に遭います。
もっとも、後半2回ともなれば暴落しても含み益が残っているでしょうし、ある意味暴落慣れしていると思うので問題ないと思います。
しかし、最初の2回の暴落を我慢できる人がどれくらいいるでしょうか?
もう一度書きますが、そこで売ってしまっては利益を得ることはできません。
……もちろん、全員が全員我慢できずに解約してしまうとは思っていませんが、自分が本当に耐えられるのかを一度考えてみたほうがいいでしょう。
私だけは大丈夫!と思うのもまた勝手ですが、ほとんどの人が大丈夫じゃないというのも歴史的な事実です。
ウェルスナビに関して言えば、「株価が一か月で20%下落したら?」という質問があり、それで調整をしているみたいですが、はっきりいって顧客のリスク許容度を高く見積もりすぎているきらいがあります。
ウェルスナビに限らず、ロボアドバイザーは基本的に自分でポートフォリオの設定をいじれるので、薦められたのよりも一段階か二段階ほど保守的なポートフォリオに変更しておくのを私はおすすめします。
長期投資のリターン計算において、「自分が投資を続けられる確率」という要素を忘れてはいけません。この視点がロボアドバイザーには欠けているように思われます。
お読みいただきありがとうございました。
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iDeCoにも私は噛みついています。投資は自分で考えられるのならば下手にやらずに普通にやったほうがいいと思います。
じゃあお前のおすすめポートフォリオを出せよ、という方に