あいうえです。最近はパッシブ運用が盛んになってきて、私もその一派なのですが、ちょっとネットをサーフィンしてましたら、どうやらPIMCOという会社があるらしいことを知りました。
私が知らなかっただけで、どうやら世界的には超有名な債券運用会社らしいです。
債券運用系の中では一番運用額が大きい会社で、歴史も長いようです。いやー無知ってなかなか怖い。
そんなPIMCOのサイトに行きますと、債券業界ではアクティブ運用の方がいい!って書いてあるんですね。
これはインデックス投資家としては聞き捨てなりません。
ということで、検証してみました。
1 PIMCOの主張
とりあえずこのようなページがありまして、
タイトルのままなのですが債券はアクティブ運用の方がいいということを力説しているのです。
いくつか理由が語られていますが、個人的に一番重要なのは「債券市場の47%を経済的合理性を追求しない投資家が占めている」という部分だと思います。
要は中央銀行とかは利益度外視で債券を買ったりするから、彼らが損を引き受ける分私たちは利益を得られるということを主張しています。
勝者がいるなら敗者がいるのは当然ですが、中央銀行が敗者を引き受けてくれるのならば投資家に勝者が多くなるのは自然です。つまり、アクティブ運用が勝ちやすい環境だということですね。
他には、債権のパッシブ運用における比率の決め方が適当だというのも主張されています。
株式のパッシブ運用では効率市場仮説に基づき、時価総額加重が主に使われています。
スマートベータも基本的にはエビデンスに基づいて作られています。
一方、債券ETFにおいては発行している債券の量によって加重されています。
社債ETFですと、1億の債券を発行している会社と100億の債券を発行している会社であれば、後者の方が多く含まれているわけです。
それって意味わからんくない?(意訳)というのがPIMCOの主張です。
確かに言われてみればそうですよね。
ここで大事なのは、彼らが主張しているのは俺たち(PIMCO)すげーという話ではないということです。
そもそも債券市場の仕組み上、アクティブがパッシブより優れた成績を収める可能性が高いということを主張しています。
しかも、自由に債券を組み入れることができるのでローリスクハイリターンが達成できるかもしれません。
……。
……とはいえ、ここに書いてあるのはあくまで理論上の話なわけです。
やっぱり結果で語ってもらわないとだめですよね。
というか、ごちゃごちゃ語られてる理由が正しいかなんて結果を見るのが一番早いわけです。
PIMCOはBONDというETFを上場していて(日本では取り扱いなし)、日本で言えばPIMCO系の投資信託もあったりするのですが、残念ながら運用年数が少ないので検証には不向きです。
ということで、PIMCOがずっと昔、なんと1987年からアメリカで運用している投資信託を見てみることにします。
2 PIMCOの投資信託を見てみよう
PIMCO Total Return Fund を見ていこうと思います。
ただ一つだけ注意点がありまして、今後でてくるPIMCOのリターンのグラフは運用にかかる経費率(0.51%)はちゃんと反映されたものになっているのですが、購入時にブローカーに払う手数料などの購入手数料は含まれていないので注意してください。
アメリカの投資信託の購入にかかるルールは特に把握してないしする必要もないので正直購入時にどれくらい手数料がかかるのかは分かりません。
(アメリカ籍の投資信託を日本在住の人が買うことは基本的にできませんので……)
ということでグラフをどうぞ
PIMCOより引用
ここまで引用
青い方がこの投資信託の結果ですね。
ちょっと下にある線がベンチマークの結果。このベンチマークはAGGに使われているものと同じで、BNDともほぼ同じです。なので、AGG・BNDの利益を言っても同じでしょう。
……すごいですね。高い経費率をものともせず運用開始直後から継続的にベンチマークに差をつけています。
しかも運用開始数年後から今までずっとその差を広げ続けているのがすごいです。
アクティブ運用は短期的にはベンチマークを上回れても、ここまで長期的に上回れるのはほとんどありません。
しかも、リーマンショック時を含めどこにも大きなドローダウンが見られません。
最低でも同リスク高リターンが実現されていると言っても過言ではないでしょう。
3 まとめ
流石、債券はアクティブがいいと主張しているだけあってPIMCOの投資信託はちゃんとした成績を収めてきたことがわかりました。
お、確かに債券はアクティブがいいのかも?
ただ、本当に債券はアクティブがいいのかは分かりません。
PIMCOが優秀なだけ説が否定できませんからね……。はい。
PIMCOのファンドを買いたいなら、海外の証券会社を使って先述したETF(コード:BOND)を購入するか、日本のPIMCO系投資信託を買うかになります。
ただ、これらは運用者が上で検証したものとは違うので、運用の中身が違っていたりします。同じPIMCOなら結果に大きな差はないとは思いますけれど。
なので、上と同じような結果を残せるとは限りません。日本の投資信託については経費率がさらに上乗せされますし。
いずれにせよ過去のデータなので未来を保証するものではないことにも注意が必要です。
後は、債券投資は仕組み上アクティブがパッシブより優れているという主張が正しいのならば、普通に日本の会社が運用しているアクティブ投信を買ってもいいかもしれません。
ただ、そうなると運用者の腕が気になりますね。
同じPIMCOが運用しているなら運用者が違ってもそんなに差は大きくなさそうと上に書きましたが、そもそも運用会社が違うとなるとわかりません。
株に比べるとベンチマークに勝っているアクティブファンドの割合は高い(出典:上述のPIMCOのページ)みたいですが、いずれにせよ投資は自己判断ということで……。
ということで、債券投資はアクティブファンドがいいという面白そうな主張を見たのでこうして記事にしてみました。なかなかに面白そうです。
当たり前のように債券もインデックス系のETFを選びがちですが、冷静に考えてみるとそのような証拠はありませんものね。
私も、自分のポートフォリオの債券枠をAGGからPIMCOの運用しているBONDに変えようかと結構真面目に検討しています。
(注:デュレーションを考慮したためBONDではありませんが、この記事を書いた1か月後くらいにPIMCO系ETFを購入しました)
お読みいただきありがとうございました。
ちなみにPIMCOはマーケット情報の発信も行っているので、投資情報を集めるのにも使えます。